東京証券取引所の鈴木義伯CIO
東京証券取引所の鈴木義伯CIO
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 「注文の執行だけでなく情報配信まで含めて、システム処理を迅速に行うことが市場の魅力となる」。東京証券取引所の鈴木義伯常務取締役 CIOは2月27日、第8回日本国際金融システムフォーラム2007で「2009年に向けた東証次世代システムの最新情報」と題した講演を行い、次世代システムの構築方針を説明した。

 鈴木CIOは、「証券取引所の運営には、これまで以上にグローバルな視点が必要になってくる」ことを強調した。経済自体がグローバル化したほか、サーバー性能の向上やネットワークの高速化などで、投資家はITを駆使して世界規模の投資を行うようになっているからだ。そこで、まずは市場そのものの魅力を高めるため、世界の取引所との関係を強化していく。一方で各証券取引所とは競合関係にもあり、次世代売買システムでは世界最高水準のシステム性能を確保すると語った。

 東証の次世代売買システムは、オープン系サーバー上でLinuxを稼働させる。高速性を確保するため、注文の処理などはすべてメモリー上に展開して実行し、ハードディスクへのアクセスを極力なくす。注文受付のレスポンスについては10ミリ秒以下、マーケット情報については5ミリ秒以下での配信を実現する計画だという。また、サーバーを3重化して信頼性を確保し、99.999%以上の可用性を確保する方針だ。東証は今年6月には、証券会社などに対して次世代システムの接続仕様を公表する計画である。