PostgreSQLがバージョン8.0で正式にWindowsに対応してから約2年が経過した。Windows版PostgreSQLはどこまで普及してきたのか。今後の機能強化は。日本PostgreSQLユーザ会のセミナー(関連記事)のためにスウェーデンから来日した,PostgreSQL開発メンバーMagnus Hagander氏に聞いた(聞き手はITpro編集 高橋信頼)。
---Windows版PostgreSQLはどれだけ普及してきたと言えるでしょうか。
すでに,公式サイトからダウンロードされるPostgreSQLバイナリのダウンロードはほとんどがWindows版になっています。先月(2007年1月)公式サイトからのダウンロードは,Windows版のバイナリが約17万2000,Linuxを含むUNIXのバイナリが約2万5000。WindowsがUNIXの約7倍になっています。ちなみにソースコードのダウンロードは約8万件でした(編注:ソースコードはすべてのOSで同じファイルになっている)。
もっとも,だからといってこれはWindows版ユーザーの方が多いことを必ずしも意味するわけではありません。PostgreSQLはもともとUNIX/Linux向けに開発されたDBMSです。UNIX用のシステムを作っている技術者が,開発用にWindows版を使っているということもあるでしょう。また多くのLinuxディストリビューションに標準で収録されているので,ダウンロードする必要はありませんし,バージョンアップなどのためにダウンロードする場合でも,ディストリビューションのサイトからパッケージがダウンロードされると,公式サイトからはカウントできません。
---UNIX版と比べたWindows版の処理性能は。
処理の内容にもよりますが,5%から50%くらいWindows版のほうが遅くなります。UNIX版のフォーク・モデルを,Windows版ではプロセスに置き換えたことなどによります。
今後,共有メモリーの処理を効率化することなどで,性能を向上させていきたいと考えています。
---今後のWindows版に関する改良の計画は。
Active Directoryとの連携を強化しSSPIによるセキュリティ認証を可能にしたいと考えています。また,Visual Studioでコンパイルできるようにする予定です。