「AMD 690」シリーズを説明する日本AMD マーケティング本部 GPUプロダクトマーケティング担当シニアマネージャーの信垣 育司氏。旧ATIテクノロジーズジャパンではマーケティング グループを率いていた
「AMD 690」シリーズを説明する日本AMD マーケティング本部 GPUプロダクトマーケティング担当シニアマネージャーの信垣 育司氏。旧ATIテクノロジーズジャパンではマーケティング グループを率いていた
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「AMD 690G」のブロックダイアグラム。DVIとHDMIという2系統のデジタル出力インタフェースを備えるのが特徴。下位の「AMD 690V」はデジタル出力を省いている
「AMD 690G」のブロックダイアグラム。DVIとHDMIという2系統のデジタル出力インタフェースを備えるのが特徴。下位の「AMD 690V」はデジタル出力を省いている
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左がIntelのグラフィックス内蔵チップセットである「Intel G965」、右はAMD 690Gで描画している。右は正しく表示しているが、左は本来描かれるべき水が表示されていない。そのため、銃弾をその地点に打ち込むと、何もないのにしぶきだけが上がり、奇妙なことになる
左がIntelのグラフィックス内蔵チップセットである「Intel G965」、右はAMD 690Gで描画している。右は正しく表示しているが、左は本来描かれるべき水が表示されていない。そのため、銃弾をその地点に打ち込むと、何もないのにしぶきだけが上がり、奇妙なことになる
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台湾Micro-Star Internationalのマザーボード「K9AGM2-FIH」。AMD 690Gを搭載し、HDMIインタフェースを備える。会場にはほかにも台湾Albatron Technology、台湾ASUSTeK Computer、台湾ECS、台湾GIGA-BYTE TECHNOLOGYの製品が展示されていた
台湾Micro-Star Internationalのマザーボード「K9AGM2-FIH」。AMD 690Gを搭載し、HDMIインタフェースを備える。会場にはほかにも台湾Albatron Technology、台湾ASUSTeK Computer、台湾ECS、台湾GIGA-BYTE TECHNOLOGYの製品が展示されていた
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 日本AMDは2007年2月28日、同社製CPU向けの新型チップセット「AMD 690」シリーズを発表した。2006年に同社が買収したカナダATIテクノロジーズが出荷していたチップセットの後継製品で、グラフィックス機能を内蔵している。

 AMD 690シリーズには2種類ある。「AMD 690G」と「同690V」だ。AMD 690Gが内蔵するグラフィックス機能は「ATI Radeon X1250」と呼ばれ、デジタル出力であるDVIHDMIに対応する。同690Vのグラフィックス機能は「ATI Radeon X1200」と呼ばれ、DVIとHDMIには非対応になる。いずれもサウスブリッジには従来のATIテクノロジーズ製品である「SB600」を組み合わせる。

 AMD 690Gのグラフィックス出力インタフェースは、DVIとHDMIに対応したコントローラーを2系統備える。そのため、DVIとHDMIに対して、別々の画面を同時に出力できる。別途PCI Express x16接続のグラフィックスボードを使えば、計4つの画面を同時に出力することも可能だ。

 AMD 690シリーズは、従来のATIテクノロジーズのグラフィックスチップが搭載する高画質化機能「AVIVO Technology」にも対応する。例えば動画を再生する際に、マッハバンドと呼ばれる段状の帯やモアレなど、画質を損ねる現象が発生することがあるが、これを低減できる。画質を比較するベンチマークテスト「HQV」を同社が実行したところ、AMD 690Gのスコアは、Intelのグラフィックス内蔵チップセット「Intel G965」の1.67倍、NVIDIAの「MCP61」の4倍になった。

 また、日本AMDによれば3Dグラフィックスに関しても、他社製品に比べて優れる。例えばIntel G965を搭載するマザーボードでは、ゲームによっては正しく表示できない場合が多い。これに対し、AMD 690Gでは正しく表示できるケースがほとんどだという。説明会の会場では実際に3Dゲーム「Half Life 2: Lost Coast」をプレーし、その優位性をアピールした。Intel G965で描画した場合は池のシーンで水が画面に写っておらず不自然に見えるが、AMD 690Gでは正しく表示できていた。

 AMD 690シリーズを搭載したマザーボードは、台湾Albatron Technology、台湾ASUSTeK Computer、台湾ECS、台湾GIGA-BYTE TECHNOLOGY、台湾Micro-Star Internationalなど、多くのメーカーが製造中。国内でも2007年3月以降、順次出荷される見通しだ。

 なお、今回AMDが発表したチップセットは、同社のAthlonシリーズ向け。Intel製CPU向けの製品は予定していないという。ただし、既存のIntel製CPU向けチップセットに関しては、ニーズがある限り提供を続けるとしている。