富士通は2月27日、基幹IAサーバー「PRIMEQUEST」で動作する金融機関向けオープン基幹系システム「EVOLUO-CONSONARE」を発表した。「SaaS」方式による従量制の料金体系を用意。個別開発に比べて4割前後安くシステムを提供するとみられる。
メガバンクや大手地方銀行(地銀)などに加え、自前でシステムを保有するのがコスト的に難しい中下位地銀や信用金庫などへの提供を目指す。NTTデータの勘定系共同利用サービス「地銀共同センター」に地銀11行が参加するなど、コスト削減を目的に複数の金融機関で勘定系を共同利用する機会が増えているのに対抗する戦略だ。
EVOLUO-CONSONAREは、大きく二つのソフト群からなる。決済や融資、顧客管理など、多くの金融商品に適応した汎用的なひな型の「業務アプリケーション」と、複数の金融商品に共通な部品関数、データ管理機能、金融システムに必要な制御機能などを実現する「金融フレームワーク」がそれ。これらのソフト群に加え、要件定義や設計、構築、保守などを「サービス」として提供する。
富士通は銀行や信用金庫だけでなく、証券会社や保険会社、カード会社などに幅広く新製品を提供したい考えだ。そのために新製品を「勘定系システム」と呼んでいないが、実質的には勘定系システムの新版という位置付けである。同社がオープン勘定系を本格発表するのは初めて。オープン勘定系を巡っては、日本IBMやNECなど先行他社が開発に軒並み苦戦している。
EVOLUO-CONSONAREは、2007年10月から順次出荷する。販売目標は今後5年間で1000億円。商品名のEVOLUOとは、EVOLUtional financial services Orchestrationの略で、エスペラント語で「進化」の意味。CONSONAREは、イタリア語で「調和」の意味だという。