「マルチコアの効果は明らか」。ネット関連サービスを手掛けるIMJネットワークの山田敏博代表取締役はこう強調する。2月22日にインテルが開催した記者向け説明会のことである。

 同社はレンタル・サーバー・サービス用の環境で,仮想化技術を適用している先進ユーザーの一社。今回,インテル製のプロセッサと仮想化ソフト「VMware ESX Server」を使って,マルチコア化による性能改善の度合いを検証した。IMJネットワーク社内のパソコン(Windows XPを搭載)を20台使い,仮想化環境を構築。IMJネットワークの社員が実際に業務で使用する中,プロセッサの使用率を測定していった。

 平均プロセッサ使用率はシングルコア・プロセッサを4個搭載したマシンが62.4%。一方,クアッドコア・プロセッサを2個搭載したマシンでは17.0%だった。向上率で見ると,3.67倍になる。シングルコアの環境は3.66GHzで動作するシングルコアのXeonを4個搭載。32GBの物理メモリを載せた。VMware ESX Serverのバージョンは2.5.4。一方,クアッドコアの環境は,2.66GHzで動作するクアッドコアのXeonを2個搭載。16GBの物理メモリを載せた。VMwareのバージョンは3.0.1。「クロック数が低いにもかかわらず,コア数の増加分以上の処理性能が出ているのは,おそらくクアッドコアXeonの演算性能が向上しているからだろう」(山田代表取締役)。

 さらに同社はマルチコア化による性能の推移を検証するため,10台,20台,30台それぞれの構成で仮想化環境を構築。マシンに搭載するインテル製プロセッサのコア数を1,2,4と増加させて処理の負荷をかけ,プロセッサの使用率を見た。いずれの構成でもシングルコアでは100%の使用率で,動作も重かった。デュアルコアでは約50%に下がり,クアッドコア・プロセッサに載せ替えたところ,約25%に低減したという。

 山田代表取締役はマルチコアによる仮想化環境の課題として,I/Oがボトルネックになること,稼働に必要な大容量メモリの価格がまだ高いこと,仮想化環境に詳しい運用技術者の教育が必要であることなどを挙げた。また,「集中化によるリスクも考えるべき」と提言した。「マルチコアと仮想化により,物理サーバーを集約できるのは大きなメリット。だが,ひとたび物理サーバーに障害が発生すると,多数の仮想マシンに影響が及ぶ。これをどう考え,どうリスクを分散させるかが今後の検討課題だ」(山田代表取締役)。