米国計算機学会(ACM:Association for Computing Machinery)は,2006年Turing Award(チューリング賞)を,元IBMの科学者のFrances Allen氏に授与する。ACMが米国時間2月21日に明らかにした。Allen氏は,女性初のTuring Award受賞者となる。

 Allen氏は,高性能コンピューティングの基盤となるプログラムの最適化理論や,複数のプロセサを同時に動作させる自動プログラム並列化の研究への貢献で知られており,複数プロセサ上でプログラムを実行する技術「PTRAN(Parallel Translation)」を開発した。これらの技術は,気象予報,DNA照合,国家の安全保障などの分野における高性能コンピューティングに応用されているという。

 Turing Award委員会の会長であるRuzena Bajcsy氏は,「Allen氏の研究は,現在の高性能コンピューティングの基盤となるコンパイラ設計とマシン・アーキテクチャに著しい進歩をもたらした」とコメントしている。

 Allen氏は,1957年にIBMに入社し,1989年に女性で初めてIBMフェローとなった。IBMは2000年に同氏にちなんで「Frances E. Allen Women in Technology Mentoring Award」を設立している。同氏は2002年に同社を退職した。

 Turing Awardは英国の数学者Alan Turing氏にちなんでおり,“コンピュータ科学分野のノーベル賞”と見なされている。授賞式は6月9日に,米カリフォルニア州サンディエゴで行われ,受賞者には賞金として米Intelが提供する10万ドルが贈られる。

発表資料へ