総務省は2月21日,「電気通信事業における会計制度の在り方に関する研究会」の第3回会合を開催した。同研究会では,IP化の進展などに伴い,会計制度の今後の在り方について議論している。今回は,NTT東西地域会社,KDDI,イー・アクセスの4社が,会計制度の見直しに対する意見を発表した。

 NTT東西は現在,総務省令に基づき,特定通信サービスの収支状況などを「電気通信事業会計」として公表している。他事業者への貸し出しを義務化されている設備に関しては,他事業者との接続に関する収支状況なども「接続会計」として公表する必要がある。前者はエンドユーザー料金の適正性,後者は接続料の適正性をそれぞれ確保する狙いがある。

 しかし,KDDIやイー・アクセスなどの競合事業者は「現行の会計制度では公表された数値を見ても,適正性を検証するのは困難。より一層の透明化を図るべき」と主張する。例えば「会計の区分が大枠になっており,Bフレッツやひかり電話など重要なIP系サービス単体の収支状況が分からない。最近はBフレッツの広告が目立ち,他サービスの営業費で内部相互補助を行っている可能性もある。営業費の内訳までチェックすべき」(イー・アクセス)といった声が出ている。

 またグループ会社との取り引きの透明性を図るべきとする声も多い。NTTグループには400以上の連結子会社,100近くの持分法適用会社があり,「グループ内の取り引きが多数存在すると思われる。しかし,グループ内の取り引きの実態が報告されていないため,取り引きの効率性や接続料の適正性について第三者による検証は困難。グループ内の取り引きが,接続料やエンドユーザー料金を高くする要因となっている可能性もある」(KDDI)とする。

 これらに対してNTT側は反論。営業費については「ブロードバンド・サービスの立ち上げ当初はみな赤字覚悟で提供している。ユーザーのメリットを考えても,最初は赤字で,将来にわたって徐々に回収する方法が適している。営業費を当該年度で回収しなければならないという決まりはなく,事業者の経営判断の問題」(NTT東日本)と切り捨てた。またグループ会社への委託については「経営の効率化を図る目的で実施しており,接続料やエンドユーザー料金の低廉化にもつながっている。全く問題ない」と主張した。

 このほか,「情報を開示する側と,要求する側で温度差がある」と前置きした上で,公表している会計情報のうち,接続料の算定に用いられていないものや,費用を個別に把握する必要性が薄れているものに関しては項目の統合や公表の廃止で簡素化すべきと主張。さらに競争が進んでいるサービスに関しては,プライスキャップ規制としてエンドユーザー料金規制の対象から除くべきとした。

 次回は,ソフトバンクテレコム,中部テレコミュニケーション,テレコムサービス協会が見直しに対する意見を発表する予定である。