独立行政法人 情報処理推進機構 オープンソースソフトウェア・センター(IPA OSSセンター)はLinuxインストールに際するデバイス・ドライバなどのトラブル解消を目指すプロジェクトを開始した。第一段階として2月19日,「Linuxディストリビューション仕様記述様式に関する調査」を委託する企業などの公募を開始した。

 グラフィックス・チップやネットワーク・チップなど,ハードウエアを操作するためのソフトウエアであるデバイス・ドライバは,Linuxディストリビューションによってどれだけ収録されているかに違いがある。すでにドライバが存在するにもかかわらずディストリビューションに収録されていない場合,ダウンロードするなどして入手すればインストールできるが,ドライバを探索し組み込むにはかなりの知識が要求される。

 このプロジェクトでは,ディストリビューションごとに,その特徴,カーネルのバージョンや組み込まれたデバイス・ドライバの情報を収集し,公開する。

 さらに,あるパソコンにどのようなハードウエアが仕様されており,どのディストリビューションのどのバージョンであればインストールできるかを自動的に判断するツールの開発も計画している。ツールのイメージは以下のようなものになる。パソコンにツールのCD-ROMを挿入して電源を入れれば,自動的にハードウエアを検出し,IPAが開設するインターネット上の情報サイトにアクセスするなどして,ユーザーの利用目的に合った,インストール可能なLinuxディストリビューションの情報を表示する。

 また,情報サイトでは,デバイス・ドライバの入手先や,組み込み方法などの情報を提供することも検討している。

 経済産業省では,学校などに教育現場向けLinuxの配布を計画している。OSのサポートが切れ,セキュリティ・ホールの修正パッチが提供されなくなった古いパソコンを,Linuxを使うことで安全に利用できるようにすることが目的。IPAでは,今回のプロジェクトの成果を,この教育現場へのLinux配布にも役立てたいとしている。

◎関連資料
オープンソースソフトウェア活用基盤整備事業「Linuxディストリビューション仕様記述様式に関する調査」公募概要(IPA OSSセンター)