自動更新によって配布される「WGA Notifications」
自動更新によって配布される「WGA Notifications」
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不正品だと判断されたWindowsには、ログイン時にメッセージを表示する
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タスクバーにもメッセージが出る。ここから正規品の入手も可能
タスクバーにもメッセージが出る。ここから正規品の入手も可能
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 マイクロソフトは2007年2月20日、使用中のWindowsが正規品かどうかを確認する「Windows Genuine Advantage(WGA)」の実行ツールを、Windows XPの自動更新機能を利用して配布すると発表した。名称は「Windows Genuie Advantage Notifications(WGA Notifications)」。2007年2月20日(米国時間)から、日本や韓国など22言語のWindows XPユーザーに対して配布する。米国などでは、既に配布が始まっていた。なお、1月30日に発売されたWindows Vistaには、WGAに相当するプログラムがあらかじめ組み込まれている。

 WGAは正規品の使用推奨を目的としたWindowsの製品確認プログラムで、国内でも2005年7月に開始された。ただ従来は、「Windows Update」の利用時など、ユーザーが能動的にWindowsの更新プログラムを取得しようとしたときにのみ実施されていた。今回の変更により、Windows XPの自動更新機能を有効にしているパソコンにはWGA Notificationsが自動ダウンロードされることになる。既にWindows Updateなどを通じて正規品であることを確認済みのパソコンも対象となる。

 WGAの開始以来、世界中で5億台以上のパソコンの確認が行われたが、正規品だと確認できなかったパソコンは22%もあったという。日本は偽造品の発見率が最も低い国の一つだというが、2006年には7%強のパソコンが確認に失敗しており「我々にとっては無視できない数字」(マイクロソフト Windows本部 Windowsビジネスマネージメントの篠田尚平ビジネスマネージャ)。そのほとんどが、不法に流出した企業向けのボリュームライセンスキーを用いているケース。「流出したと断定したキーは、WGAで認証できないように登録している」(篠田氏)というが、すべての流出キーを把握できているとは限らないため、実際にはこれ以上の偽造品が存在する可能性も否定できない。また、ライセンスキーを違法に生成するツールを用いたり、ライセンス認証部分のプログラムを不正に書き換えたりしている例なども確認されている。

 WGA Notificationsがパソコンにダウンロードされると、タスクバーに通知が表示される。これをクリックして、インストールを実行する。インストールが終わると自動的にWGAのサーバーと通信し、正規品かどうかの確認を実行する。確認できなかった場合は、次回のログオン時から、ログオン画面やタスクバー上で「お客様は偽造ソフトウェアの被害に遭われた可能性があります」などのメッセージが表示されるようになる。ここで「今すぐ解決する」を選べば、解決方法を確認したり、「WGA Kit」と呼ばれる正規品を購入したりできるWebサイトが表示される。WGA Kitの価格は、通常よりもやや安価に設定されている。また、偽造ソフトがとても精巧にできており、購入したユーザーに全く落ち度がないと判断された場合は、正規品の無償提供も実施する(購入したソフトと、購入が証明できるものをマイクロソフトに送付する必要がある)。

 ただしWGA Notificationsは、あくまでもユーザーに対する啓蒙強化を目的としており、不正品の継続使用を不可能にするものではない。まず、配布されたWGA Notificationsをインストールするかどうかはユーザーが選べる。またインストールして不正品と判断されても、従来通り自動更新機能を利用し、セキュリティの更新プログラムなどを適用することは可能だ。不正品と判断されるとタスクバー上に警告メッセージが表示されるが、メッセージを非表示にすることもできる。ただし、一度インストールしたWGA Notificationsをアンインストールすることはできないという。