都内で開催したユーザー向けのイベント「IBM FORUM 2007」で講演する日本IBMの大歳卓麻社長
都内で開催したユーザー向けのイベント「IBM FORUM 2007」で講演する日本IBMの大歳卓麻社長
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 世界中のどこで仕事をするのがコストが最も安いのか。企業の競争力を高めるには、もはや地球規模での最適化が必要不可欠だ--。日本IBMの大歳卓麻社長は2月20日、都内で開催したユーザー企業向けのイベント「IBM FORUM 2007」の講演でこのように語った(写真)。

 大歳社長は世界で“フラット化”が進んでいる実態を強調した。「インドでソフトウエアを開発するのは当たり前の時代となった。今は、米国の会計事務所が伝票をインドに送って一晩で処理してもらったり、レントゲンの画像解析を委託するケースなどが増えている」と紹介。IBM自身も、アジアで調達する物品が多いので、中国シンセンにワールド・ワイドの購買部門を置いたという。

 IBMはITだけでなく、一般業務や研究開発のアウトソーシングを請け負うことに力を入れている。特に日本IBMは大和研究所で世界の製造業や電機メーカーから開発の委託を請け負うことに注力し始めた。しかし、こうして日本企業が海外に委託を進めると、「製造業などのノウハウが流出してしまう」との指摘もある。

 これに対して大歳社長は、手法によってはこうした問題が回避できるとした。「業務を分析し意味のある最小単位に分割。そうすると企業の活動がきちんと見えてきて、何を外部に委託して、何を自社で持っておくべきかが分かってくる」(大歳社長)と説明した。