日本HPの小田晋吾社長
日本HPの小田晋吾社長
[画像のクリックで拡大表示]

 2007年2月20日,日本ヒューレット・パッカード(HP)は運用管理ソフト分野における事業戦略を発表した。2月1日に,テスト管理ツールなどで知られるマーキュリー・インタラクティブの日本法人を日本HPのソフトウェア統括本部に統合したことを受けたものだ。

 これまで,HPは「HP OpenView」ブランドで運用管理製品群を,マーキュリーは「Mercury」ブランドでテスト支援やパフォーマンス管理ツールを販売してきた。今後は,両ブランドの製品群をまとめて,「HP Software」という新しいブランド名で売り込んでいく。

 今回の買収で,日本HP社内で運用管理ソフト製品の販売や関連サービスに従事する専任要員の数は1.5倍程度に拡大した。日本HPの小田晋吾社長は,「HPの売り上げの中でソフトはわずか2%程度しかないが,今後は市場の3倍のペースで伸ばす。サービス事業も,今回の統合をテコに伸びるはずだ」と期待する。

 2007年中には,上流の戦略立案を支援する製品も投入する。「HP Project and Portfolio Management Center」「HP SOA Center」といった製品の日本語化を急いでおり,2007年夏頃から年末にかけて順次出荷する。これにより,戦略立案,開発,運用までの各プロセスを横断的に管理できるソフト群がそろうという。

 従来とは異なる運用管理を提案するために,HPは今回一つの大きな決断を下した。「OpenView,Mercuryのブランドは今後使わない」(河口雄一郎ソフトウェア統括本部ソフトウェアマーケティング部部長)というものだ。新ブランドの製品群は,「BTO(Business Technology Optimization)」という新しいコンセプトで売り込む考えだ。

 「運用管理市場の競合関係は今,大きく変化している。ネットワーク機器に運用管理機能が入ったり,セキュリティ・ベンダーやストレージ・ベンダーなどが参入したりしている。そんな中,HPは新しい運用管理の定義で先べんを付けたい」と河口部長は,狙いを語る。

 HP OpenViewと言えば,ネットワーク管理ソフトの「ネットワーク・ノード・マネージャー」のイメージが強い。このブランド力が,BTOという新たな土俵で戦いたいHPにとってはアダになるという判断だ。既にHP社内の組織名称からも,OpenView,Mercuryの文字は消えているという。