写真1 携帯電話サービスの開始を発表するイー・モバイルの千本倖生・代表取締役社長兼CEO
写真1 携帯電話サービスの開始を発表するイー・モバイルの千本倖生・代表取締役社長兼CEO
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写真2 無線データ通信機能付きPDA「EM・ONE」
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 イー・アクセスの子会社であるイー・モバイルは2月19日,1.7GHz帯を使う携帯電話事業のサービス開始日や料金,端末ラインアップを発表した。同社の千本倖生・代表取締役会長兼CEO(最高経営責任者)は「7年前,固定のブロードバンドで革命を起こした。それをモバイルでも実現する」と,携帯電話事業にかける意気込みを語った(写真1)。

 サービスは3月31日から東京23区,名古屋市内,大阪市内,京都市内で開始する。まずはHSDPA(high speed downlink packet access)を使った下り最大3.6Mビット/秒のパソコン向けデータ通信サービスを提供。1年後の2008年3月をめどに,音声通信サービスを開始する。サービス・エリアは順次,全国主要都市に拡大する計画である。

 料金は,携帯電話事業者のパソコン向けデータ通信サービスとしては初となる完全定額制を実現する。料金は月額5980円。さらに3月末から5月31日までは,月額基本料無料のキャンペーンも実施する。ADSLとのセット割引も投入する予定だ。

 最大3.6Mビット/秒で月5980円の定額料金というイー・モバイルのサービスを他社と比較すると,価格,最大伝送速度ともにユーザーにとって十分,魅力的なものとなっている。NTTドコモ,KDDI,ソフトバンクモバイルが提供するパソコン向けデータ通信サービスの料金は,一定のパケット量を超えると従量制の課金となる。PHS事業者のウィルコムは完全定額制のパソコン向けデータ通信サービスを既に提供しているが,その料金は最大102kビット/秒の「つなぎ放題」で月6090円,最大204kビット/秒の「つなぎ放題[4x]」で9765円,最大408kビット/秒の「つなぎ放題[8x]」で1万2915円だ。

 イー・モバイルが提供する端末は,データ通信カードとPDA(携帯情報端末)だ。データ通信カードはPCカード型とCFカード型を計3機種。PDAはシャープと米マイクロソフトとの協力によって,無線データ通信機能付きPDA「EM・ONE」を投入する(写真2)。EM・ONEが搭載する液晶ディスプレイは,4.1インチのワイドVGA。本体の厚さはキーボード付きで18.9mmを実現,ワンセグにも対応した。EM・ONE本体を含む初期費用は3万9800円(2年の長期契約の場合)である。

 データ通信カードは,既にPHSデータ通信カードで実績のあるNECインフロンティアとネットインデックスが製品を提供する。さらに第3世代携帯電話向けデータ通信カードで世界的な出荷実績のあるベルギーのオプション・ワイヤレス・テクノロジーからも製品が登場する(関連記事1関連記事2)。

 イー・モバイルは2005年11月に携帯電話事業への新規参入が認められた新規事業者。周波数帯は1.7GHz帯を使う。同時期に参入が認められたBBモバイルは,親会社のソフトバンクによる旧ボーダフォン買収に伴い1.7GHz帯の周波数を返上している。また2GHz帯での新規参入を認められたアイピーモバイルは,いまだにサービス開始時期を明らかにしていない。