トレンドマイクロは2007年2月19日、2007年の戦略を発表した。その中で同社代表取締役社長兼CEOのエバ・チェン氏は、攻撃の傾向や環境の変化などにより単一のソリューションですべてをまかなうのが困難な現状にあると説明。「カスタマイズ可能なソリューションを提供する」という戦略を打ち出した。この戦略を実現するため、大きく2つのことを2007年に実施するという。

 1つ目として、地域ごとの脅威に対応するため国内にコンピューターウイルス検体の収集やパターンファイル(ウイルス定義ファイルともいう)の作成を行う「リージョナルトレンドラボ」を設置する。攻撃者の攻撃方法が、感染を大規模に広げるものから一部の企業や業種を狙うものに移っていることから、ウイルスなどの研究を行うフィリピンにある「トレンドラボ」が作成するパターンファイルに加え、国内の脅威に対するパターンファイルを迅速に作るのが狙いである。これまでも国内には「トレンドラボ Japan」はあったが、フィリピンのトレンドラボとのコーディネーション業務が中心で、独自にパターンファイルは作成していなかった。2007年5月から一部顧客に対してサービスを開始し、2008年上旬にはパターンファイルの提供を開始する。リージョナルトレンドラボの設置に伴い、現在は10名弱の人員を、年内に5から10名増やすという。

 2つ目として、同社のセキュリティ技術をパートナー企業に提供することも戦略の柱の一つだと説明した。さまざまな攻撃を防ぐためには1社の力だけでなくパートナーとの協力が不可欠である。技術供与により、パートナー企業がさまざまなソリューションを提供できるようにするのが狙いである。