写真1 英シンビアンのナイジェル・クリフォードCEO(最高経営責任者)
写真1 英シンビアンのナイジェル・クリフォードCEO(最高経営責任者)
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 携帯電話向けのOSとして大きなシェアを握る英シンビアン。同社はスペイン・バルセロナで開催された「3GSM World Congress 2007」の会場で2006年の状況を発表,1年間でシンビアンOSを搭載した端末を5170万台出荷したことを明らかにした。同社のナイジェル・クリフォードCEO(最高経営責任者)に,今後の展開や日本市場に向けた方針などについて聞いた(写真1)。

――最近,NECやパナソニック モバイルコミュニケーションズが携帯電話向けのLinux OSを推進する団体「LiMo」を設立したり,米マイクロソフトがWindows Mobileの新版を発表するなど,携帯電話のOSをめぐって競争が激しくなっているように見える。これらの競合に対するシンビアンの強みは何か。

 我々は携帯電話向けOSの提供で豊富な経験がある。それが一番の強みだ。シンビアンOSを搭載した端末は急速に増えており,累計で1億台以上に達している。また我々のOSが提供している分野は,スマートフォンだけではない。企業向けやマルチメディア対応端末に始まり,スポーツ向けの防水機能付きの端末などにもOSを提供している。また世界各国でそれぞれの国に向けたソリューションを提供している。こうした点も他のOSと比較した我々の強みだ。

――日本にはまだまだシンビアンOSのプログラマーが少ない。日本市場をどのように見ているのか。

 日本は先進的な市場でとても重視している。シンビアンOSを採用する日本の端末は49機種に達した。今後も増やしていきたい。シンビアンOSのプログラマーを増やす方策については,現在,世界の22の大学でシンビアンOSのトレーニング・コースを設けている。アフリカや中国,日本などの大学も興味も持っている。さらには,開発者向けの情報提供もWebなどを通じて増やしている。このような開発者向けコミュニティの活性化にも,力を入れていく。

――次のバージョンのシンビアンOSで強化を考えている点は。

 マルチメディアの強化だ。メモリーやプロセス処理などを改良することで,よりマルチメディア・ファイルを扱いやすくしたい。またミッドレンジ端末向けのOSも強化する。インドや中国など急速に拡大している市場では,ミッドレンジ端末が求められている。こうした需要に対応するため,最近,中国オフィスも開設した。現地のオフィスを通じて,各地域の市場でエコシステムを形成していきたい。