楽天は2月15日,2006年第4四半期(2006年10月~12月)と通期の連結決算を発表した。通期の売上高は前年同期比56.6%増の2032億7000万円と大きく伸びたが,営業利益が同16.4%減の291億4000万円,経常利益が同9.0%減の334億1000万円だった。通期の経常減益は97年の創業以来初めて。自動車ローン事業売却に伴う特別損失を計上し,純利益は86%減の27億円にとどまる。

 信販子会社の楽天KCについて,消費者金融事業の貸倒引当金の計上を厳格化したため,カードと消費者金融などを手掛けるクレジット・ペイメント事業は61億4000万円の営業赤字になった。三木谷社長は「自ら毎週楽天KCに行って会社の構造改革に取り組んでいる」と語り,ショッピングクレジットを中心とした信販会社からネットマーケティングを中心としたカード会社へ変革させるため陣頭指揮を取っていることを強調した。

 一方で,「楽天市場」を含む電子商取引事業は,出店数,流通額ともに拡大,売上高が68.7%増の591億5000万円,営業利益が51.3%増の176億5000万円になった。このほか宿泊予約の楽天トラベルのトラベル事業は45.6%増収の107億円を売り上げ,47.3%増益の54億円の利益を出した。楽天証券など証券事業も53%増収,33.7%増益だった。

 従来は,EC,金融,トラベルなど,事業セグメント単位で利益回収と新規投資を実施してきたが,第3四半期に収益構造が悪化したため,今期は運用を見直したという。

 「グループ全体の利益から新規投資向けの原資をプールし,成長分野に戦略的に投資するやり方で収益構造が改善しつつある。今年は10件くらいの新規事業を立ち上げたい」と三木谷社長は楽天グループの事業拡大に意欲を見せた。