写真 モバイルビジネス研究会の第3回会合の様子
写真 モバイルビジネス研究会の第3回会合の様子
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 総務省は2月15日,携帯電話を中心としたモバイル市場の活性化策を議論する「モバイルビジネス研究会」の第3回会合を開催した。

 今回は前回(関連記事)に続き,KDDI,CIAJ(情報通信ネットワーク産業協会),インデックスがプレゼンテーションを実施。販売奨励金やSIMロックの是非,MVNO(仮想移動体通信事業者)の促進策などについて議論した。

 今回の目玉はKDDIのプレゼンテーション。NTTドコモは前回,販売奨励金やSIMロックの見直しに慎重な意見を表明したことで,座長をはじめとする構成員から集中砲火を受けた。今回,KDDIがどのような意見を表明するかが注目された。

 KDDIは見直しに前向きな姿勢を示し,その一つの解として,現行の販売奨励金モデルと,販売奨励金なしの分離モデルの併用を例示した。課金システムや約款を見直し,端末価格と料金プラン,契約期間をそれぞれリンクさせた契約形態にすれば「端末価格は高いが,通信料は低い」という選択肢を提供することも可能とする。

 ただ,「事業者がコントロールできるのは販売奨励金だけに過ぎない。実際には販売代理店が端末価格を決めるので,同じ端末でも時間の経過とともに価格にバラツキが出ることが予想され,やはり公平性を担保するのは難しい」(渉外・広報本部長の大山俊介・執行役員)と,課題を残す。

 一方,SIMロックに関しては,短期解約による(1)海外への転売,(2)他事業者の販売奨励金なしモデルへの乗り換え,といった不公平が解消されるのであれば,SIMロック解除は問題ないとする意向を示した。

 むしろ今回大きな議論を呼んだのは,端末ベンダーの代表として参加したCIAJのプレゼンテーション。「急激なビジネスモデルの変更は市場の混乱を招くばかりか,国際競争力の強化を阻害しかねない」(資宗克行・専務理事)と,販売奨励金とSIMロックの強行な見直しに釘を刺したからだ。

 販売奨励金モデルを急にやめると,「端末の買い替えが減り,買い替え需要が中心の現在の市場がさらに冷え込む可能性がある。研究開発や技術革新も鈍り,さらにはワンセグやクレジット決済などのモバイル・サービスの普及が遅れて関連産業へも影響を及ぼすことになる」(同)。

 SIMロックについても,「解除してユーザーが乗り換えられるのはNTTドコモとソフトバンクモバイルの間だけ。KDDIは通信方式が違うので互換性がなく,ユーザーの混乱を招く」(同)としたほか,「事業者を乗り換えて利用できるのは通話やSMSなどの基本機能に限られるので,ユーザーの利便性向上にはつながらない」といった課題を複数挙げた。こうした課題を認識した上で「中長期の視点に立った検討が必要」(資宗専務理事)と主張した。

 これに対して一部の構成員からは,「SIMロックの解除で端末の多様化を進めようという考えはないのか」,「海外へ進出する気はないのか」など皮肉めいた質問も投げかけられた。