写真1 MBSBを使って,複数の端末に同時にストリーミング・ビデオを配信している様子
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写真2 クアルコムのチップセットを使った3Gと無線LANのデュアル端末。ネットワーク側にIMSのシステムを用意することで,Gエリアと無線LANエリア間でシームレスなハンドオーバーを実現した写真2 クアルコムのチップセットを使った3Gと無線LANのデュアル端末。ネットワーク側にIMSのシステムを用意することで,Gエリアと無線LANエリア間でシームレスなハンドオーバーを実現した
写真2 クアルコムのチップセットを使った3Gと無線LANのデュアル端末。ネットワーク側にIMSのシステムを用意することで,Gエリアと無線LANエリア間でシームレスなハンドオーバーを実現した写真2 クアルコムのチップセットを使った3Gと無線LANのデュアル端末。ネットワーク側にIMSのシステムを用意することで,Gエリアと無線LANエリア間でシームレスなハンドオーバーを実現した
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 スペイン・バルセロナで開催中の「3GSM World Congress」にて,米クアルコムが3Gネットワークを使った放送システム「MBSB」(multimedia broadcast multicast service)のデモを実施している。MBSBとは,第3世代携帯電話の標準化団体「3GPP」が標準化している同報通信のための仕様。同社によるとMBSBのデモは世界初という。複数の端末に同じ内容のストリーミング・ビデオを同時配信している様子を披露している(写真1)。

 今回のデモでは,中国ファーウエイ・テクノロジーズのW-CDMA/HSPAネットワークとクアルコムのHSPA対応のチップセット「MSM7200」を搭載した実験端末を利用。3台の端末に対して映像を同報配信していたが,「配信先の端末の台数に制限はなく,何台でも大丈夫」(クアルコム)という。

 同社は,モバイル端末向け放送システムとして「MediaFLO」を推進している。今回の技術は「MediaFLOとは別のアプローチ」(クアルコム)という位置付け。既存の3GやHSDPAのネットワークに対して,ソフトウエアのアップグレードだけでサービスが可能になる点が特徴という。

 さらに同社のブースでは,3Gと無線LANのデュアル端末を使い,3Gエリアと無線LANエリア間でシームレスなハンドオーバーを実現するデモも実施している(写真2)。実際にスペインの携帯電話事業者のネットワークを使い,デュアル端末が無線LANエリアを離れて3Gのエリアに入った時にも,音声が途切れずにハンドオーバーする。

 デュアル端末を使ってシームレス・ハンドオーバーを実現する技術としては,英BTのFMCサービス「BT Fusion」の対応端末などが採用する「UMA(unlicensed mobile acces)」が知られている。それに対して今回のデモでは,ネットワーク側にIMS(IP multimedia system)のシステムを使ってハンドオーバーを実現しているのが特徴。「長期的にみてFMCサービスを実現する技術としては,IMSを使ったアプローチが有望と見ている」(クアルコム)。現在はリサーチ段階であり,今後さらに技術を発展させたいという。