韓国のSamsung Electronicsはスペインのバルセロナで開催中の3GSM World Congressで現地時間2月13日,最新のMobile WiMAX技術である「Mobile WiMAX WAVE 2」のデモを実施した。

 Mobile WiMAX WAVE 2は,通信速度を向上させる技術「MIMO(Multi-Input Multi-Output)」とスマート・アンテナに対応する次世代のモバイル通信技術。Mobile WiMAX技術と第4世代(4G)技術を組み合わせている。Wave 1の最大伝送速度が下り20Mビット/秒,上り6Mビット/秒なのに対し,Wave 2は,下りで最大40Mビット/秒,上りで12Mビット/秒を実現できるという。

 Samsungが実施したデモでは,同技術対応システムと端末を使用し,下り34Mビット/秒,上り8Mビット/秒のデータ伝送に成功した。この速度が実現された場合,MP3の音楽ファイル(3Mバイト)が0.7秒,映画ファイル(700Mバイト)が2分45秒でダウンロードできることになる。

 Samsungは,デモ以外にもFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)端末を通じて,MIMO技術の空間多重化(Spatial Multiplexing)技術なども紹介している。通信事業者は,MIMOとスマート・アンテナ技術により,既存の技術よりもデータのスループットを高められ,通信範囲も拡大できるため,設備投資額と運営費用を削減できるとしている。同社によれば,ソフトウエアのアップグレードにより,現行のプラットフォームをMIMOとスマート・アンテナ技術に対応できるという。また,同社は,Mobile WiMAX Wave 2向けに開発したコア・チップを発表している。

 Mobile WiMAX Wave 2技術は,米Sprintをはじめとして複数の通信事業者同年中に配備を予定している。Samsung通信ネットワーク事業担当社長兼CEO(最高経営責任者の)Geesung Choi氏は,「引き続きMobile WiMAX Wave 2のような革新的な技術を開発し,世界市場におけるMobile WiMAXの商用化を促進したい」とコメントしている。

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  【修正履歴】当初,タイトルで「上りが34Mbps,下りが8Mbps」と記載していましたが,「下りが34Mbps,上りが8Mbps」の誤りです。(2007年2月14日)