KDDIは2月13日,昨年12月26日に台湾南沖で発生した地震により被災した海底ケーブルが,修理作業によりほぼ被災前の状況に回復したと発表した。今回の地震で被災したのは,「APCN」「APCN2」「C2C」「China-US」「EAC」「FLAG」「FNAL」「RNAL」「Sea-Me-We3」の9ケーブル・システムの19区間。このうちEACの修理は調整中としているが,KDDIの主要ルートであるChina-US,Sea-Me-We3,APCN,APCN2,FLAGの各ケーブル・システムの修理が完了したことから,復旧を宣言した。

 KDDIは震災直後から海底ケーブルのう回措置を採り,障害が発生した国際データ通信や国際電話など多くのサービスは通信可能になっていたが,「香港やモロッコから日本に着信課金でかける電話」など一部サービスは場所により使えない状態が続いていた。う回措置後に9カ国・地域の9社の通信事業者と共同でケーブル修理作業を進め,1月23日のChina-USを皮切りに順次修理が完了。2月12日にFLAGの修理が完了し,すべてのサービスが元の状態に戻った。

 ただしKDDIは,今回の修理完了をもって終わりとするのではなく,今後,より信頼性の高い伝送路網の構築を進めるとしている。「地震前も3重,4重にう回路を設定していたが,被災地域を通るケーブルの中でだった。今後はグアムや中国陸路を通す(別ルートでの)う回路を考えていかなくてはならない」(同社)。

 今回,台湾南方沖地震により大規模な国際通信障害が発生したのは,日本から東南アジア方面への通信路となる海底ケーブルが軒並み台湾とフィリピンの間を通過しているため。この地域に,地震よる地すべりと見られる現象が広範囲で発生したことから,ここを通る海底ケーブルのほとんどが被災した。このため,「発生直後から十数時間かけて海底ケーブルが次々切れていった。約半日で九つの海底ケーブル・システムが使えなくなってしまう事故は過去最大のはず。世界的に見てもこのような現象は初めてだろう」(同社)という大規模な海底ケーブル障害が発生していた。