現地時間の2月12日にスペイン・バルセロナで開幕した「3GSM World Congress 2007」にて,NECがFMC(fixed mobile convergence)を実現する2タイプのソリューションを展示している。
一つは,同社のFOMA/無線LANデュアル端末の新機種「N902iL」を改良し,さらにユーザーの使い勝手を向上したソリューション。無線LANとFOMAのエリア間でシームレスなハンドオーバーを実現した(写真1)。
現在,同社のデュアル端末を使ったモバイル・セントレックスでは,ユーザーが無線LANエリアから3Gのエリアへ移動した場合,通話が途切れてしまう。今回展示したソリューションでは,無線LANと3G間でエリアを移動しても通話が途切れず,シームレスに通信路が切り替わるようにした。
SIP(session initiation protocol)サーバー側にIMS(IP multimedia subsystem)ベースのシステムを用意し,端末側に新しいSIPスタックを用意することで,今回のシステムを実現している。「技術的には固定と携帯の間でシームレスなワンナンバー・サービスが可能になり,個人ユーザーに対してもデュアル端末を訴求できるようになる」(NEC)。モバイルWiMAXなど,無線LAN以外の通信方式とシームレスにハンドオーバーしたいときにも応用できるという。
もう一つがフェムトセルを使ったソリューションだ。フェムトセルとは,家庭やオフィス内に設置が可能な超小型の携帯電話基地局のこと。先日の同社からの発表の通り(参考記事),英ユビキシス(UbiquiSys)の基地局を利用したソリューションを展示している(写真2)。
基地局を家庭のADSLやFTTH回線と接続することで,屋内で携帯電話を利用した場合のトラフィックを固定回線を経由して通せるようにする。事業者にとっては,家庭内の通信料金を別体系にするようなサービスも可能になり,通常の携帯電話を使ってFMCサービスを実現できる。
デモではHSDPAに対応した小型基地局を利用し,固定回線経由で携帯電話を接続する様子などを披露している。なお同社のフェムトセル・ソリューションの開始時期は,「事業者のニーズを探っている状況で未定」(NEC)。フェムトセルに関する引き合いは,日々増えているという。