写真 The 3GSM World Congressの会場となるフィラ・デ・バルセロナ
写真 The 3GSM World Congressの会場となるフィラ・デ・バルセロナ
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 2月12日から15日にかけて,スペイン・バルセロナでモバイル関連のイベントとしては世界最大級の「The 3GSM World Congress 2007」(以下3GSM)がいよいよ開幕する(写真)。2年前にフランス・カンヌからスペイン・バルセロナへ場所を移し,規模は拡大の一途をたどっている。今年も出展者数は1300社以上(前回は約960社),来場者数は6万人以上(前回は約5万人)と,大幅増を見込む。

 会期中に予定されているカンファレンス参加者の顔ぶれも豪華だ。英ボーダフォンのアルン・サリーンCEOや仏オレンジのサンジブ・アフジャCEOなど通信事業者のトップが参加。ベンダーではスウェーデンのエリクソンからカール-ヘンリック・スヴァンベリCEO,アルカテル・ルーセントのパトリシア・ルッソCEO,NECの矢野薫社長などが参加する。

 展示会場には各ベンダーの最新の機器やサービスが展示される見込み。W-CDMA(3G)はもちろん,モバイルWiMAXやHSPA(high speed packet access)などワイヤレス関連の高速技術や各ベンダーの最新端末,さらにはモバイル向けサービスなどに注目が集まりそうだ。

一般展示以上の面積を占める「ホスピタリティー・エリア」

 「一言で言えば,会場全体が巨大なサロン」――。NECの海外展示会を取り仕切る岩間和雄キャリアネットワーク企画本部エグゼクティブエキスパートは,3GSMについてこのように表現する。世界中からモバイル関連の関係者が年に一度勢ぞろいして,会場のあちこちでミーティングが行われるからだ。さらにもう一つ,サロンとしての性格を強めている理由がある。大手ベンダー各社が会場各所に設ける「ホスピタリティー・エリア」の存在だ。

 3GSMのホスピタリティー・エリアとは,ベンダーの機器やサービスの納入を検討する通信事業者などを招き,商談の場とするスペースのこと。一般の来場者は入ることの出来ないこのスペースでは,数年先を見越したベンダー各社の最新機器やサービスを展示していることも少なくない。つまりホスピタリティー・エリアでは,ベンダー各社が真に力を入れる“裏の展示”が行われているのだ。

 今年の3GSMの会場エリアを見ると,フィンランド・ノキアやエリクソンなどの大手ベンダーは,通常の展示スペース以上にホスピタリティー・エリアを確保していることが分かる。ベンダー各社は,モバイル関連の世界の事業者が一同に介する3GSMを,自社の将来を決める商談の場としても重要視している。NECの岩間エグゼクティブエキスパートは「表の展示だけでは,3GSMを完全に理解したことにはならない」と断言する。本誌では,3GSMの表も裏も含めて出来る限りお伝えする予定だ。