LiMo Foundationの副議長 NTTドコモ プロダクト&サービス本部 プロダクト部長 永田清人氏
LiMo Foundationの副議長 NTTドコモ プロダクト&サービス本部 プロダクト部長 永田清人氏
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青く塗られた部分がLiMo Foundationによる共同開発の対象範囲。Bylawsの185ページより引用
青く塗られた部分がLiMo Foundationによる共同開発の対象範囲。Bylawsの185ページより引用
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 米Motorola,NTTドコモ,英Vodafone Group,NEC,パナソニック モバイルコミュニケーションズ,韓国Samsung Electronicsの6社は非営利団体「LiMo Foundation」を設立した。競合するキャリアとメーカーによる携帯電話向けLinuxの共同開発が本格的に始動する。LiMo Foundationの副議長に就任したNTTドコモ プロダクト&サービス本部 プロダクト部長 永田清人氏にその狙いを聞いた。(聞き手はITpro編集 高橋信頼)

---なぜLiMo Foundationのような取り組みが必要になったのでしょうか。

 背景には携帯電話のソフトウエアの規模が爆発的に増大して,一つの会社で作ることが難しくなってきたことがあります。差異化する部分と共通化する部分にわけ,お客様から見えない部分は共同で開発することで効率化し,コストを低減し開発期間を短縮することが目的です。

 そもそも2004年の10月に,我々はSymbianとLinuxの2つのOSを主力にしていくという意思決定を行い,その2つのOSの上にMOAP(Mobile Phone Application Platform)と呼ぶ共通プラットフォームを開発してきました。開発のスピードとコストを下げ,端末のバラエティを豊富にしていくことがプラットフォームの共通化の目的です。

 Symbian上のMOAPは富士通,三菱電機,シャープ,ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーション,Linux上のMOAPはNECとパナソニックモバイルという我々のパートナーが採用し,その上に共通プラットフォームを作ってきました。Linux搭載携帯を2004年に最初の機種を出荷,NECとパナソニックモバイルのモデルはほぼ全面的にLinuxを搭載するようになり,現在1000万台規模となっています。

 ただし,Symbianの場合は,それを開発している会社という実体があり,その上にエコシステムができていますが,Linuxの場合はどうか。日本では共通化できていても,世界的なエコシステムはできているのか。

 そのような問題意識から携帯電話向けLinuxの資産を持つ企業間で話し合いが始まり,昨年6月,今回の6社での提携を発表しました。そして,その目的を実現するためには法人組織とすることが望ましいということになり,非営利団体であるLiMo Founddationを設立しました。設立メンバーは6社ですが,これからメンバーを募集し,多くの企業に参加していただきたいと考えています。

 すでにアプリケーション・ベンダーやLSIメーカー,オペレータなど,主要なプレーヤーには声をかけ始めています。会費が必要なので個々の企業の判断になりますが,最終的には数十社に参加していただけるのではないかと思います。

---どのような部分を共通化していくのでしょうか。

 概要はLiMo Foundationのホームページ上のBylawsという文書(PDF)の185,186ページに記載されています。どこまでを共通化し,どこを差異化するかは難しい部分もありますが,今回はバージョン1,さらに議論を重ねてバージョン2と拡大していくことになると思います。

---Linuxを携帯電話で使用するにあたっての課題は何でしょうか。

 機能的な面では,かつては反応速度などの課題がありましたが,もう問題なくなったと言えます。NEC,パナソニックモバイルと一緒に我々はこれらの問題を解決してきました。

 ただ,先ほどもお話したように,携帯電話メーカーにとってはユーザーに違いを際立たせる必要がありLinuxがそれぞればらばらになってしまう可能性がある。そのような遠心力が働かないような構造を作らなければならない。そのための取り組みがLiMo Foundationであると言えます。

◎関連資料
Foundation Bylaws(LiMo Foundation)
GPL/LGPL適用ソフトウェアのソースコードダウンロードについて(NTTドコモ)