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 TISは2月8日、2006年度(07年3月期)業績予想を下方修正した。営業損益は当初計画の前年度比5.8%増の123億円から、134億円下方修正し11億円の赤字になる。同社の岡本晋社長(写真)は、「超大型プロジェクトにおいて、システム・テスト工数が増大したため」と説明する。同氏は明言を拒んだが、クレジットカード大手のジェーシービー(JCB)の基幹系システム刷新プロジェクトを指すとみられる。同プロジェクトの投資額は500億円を超えるといわれる。

 今回、TISが06年度に計上するテスト追加費用は単体で合計128億円に上る。同プロジェクトで開発とテストを担当する、TIS子会社のユーフィットでもテスト工数が膨らみ、「下期に7億円の赤字を計上する」(同)。岡本社長は「追加テストの工数を正確に見積もったため、これ以上の追加は無い。赤字は一過性のもの」と話す。

 130億円を超す業績予想の下方修正をもたらすことになったにもかかわらず、当該の大型プロジェクトについて、岡本社長は「失敗プロジェクトとは思っていない」と話す。「今回、通常では巨大システムと言われるぐらいの大きさのサブシステムを四つ結合させる必要がある。個別のサブシステムには問題なかったが、結合テストの工数を少なく見積もり過ぎていた。見積もりには甘さがあったが、プロジェクト管理が間違っていたとは思わない」(同)。

 システムテストの工数はこれまでの2倍に膨らんだが、岡本社長は「プロジェクトの稼働時期は変えない」と話す。現在、同社はテスト要員を増加し、現在のプロジェクトは3000人規模となっているという。岡本社長は「現場は確かに疲弊しているが、士気は落ちていないし、今後は繰り返しテストが多くなるため作業量は収束していく」と話す。JCBの基幹系刷新プロジェクトは、07年春に加盟店系システムを、08年1月から2月にかけて会員系システムを本稼働する計画である。