ソフトバンクは2月8日,2007年3月期の第3四半期決算を発表した。第3四半期末(2006年4月~12月)の売上高は前年同期比1兆121億円増の1兆8223億円,営業利益は同1693億円増の1972億円と大幅な増収増益となった。
増収増益の大部分は,2006年4月に買収した携帯電話事業によるもの。携帯電話事業は売上高1兆85億円,営業利益1135億円を計上した。孫正義代表取締役社長は「携帯電話はもうかるビジネスだと実感していたが,それが順調に反映された」と評価した(写真)。
携帯基地局4万6000達成は目前
決算説明会のほとんどが,携帯電話事業に関する説明に費やされた。このなかで,経営上重要ないくつかの数字を明らかにした。
一つは,課題とされた基地局数。「当初目標としていた4万6000局の達成は時間の問題」(孫社長)と自信を見せた。現時点で2万6200局が開局済みで,1万4050局が工事中,さらに5870局分の基地局用地を確保済みとした。「用地確保の交渉,機材の手配,設置場所の設計といった下準備に買収してから半年かかった。基地局の設置は用地確保さえできれば進む。今は仕上がり期に入った」(孫社長)。
二つめは,月額980円の「ホワイトプラン」の契約状況。開始後約3週間で,新規21万件,機種変更・プラン変更84万件の合計105万件を獲得したという。前身にあたる月額2880円の「ゴールドプラン」が3カ月で102万件だったので,4倍以上のペースで100万件を突破した格好だ。「新規契約の9割前後はホワイトプランを選択している」(孫社長)。
ただし,ARPU(1契約当たりの月間平均収入)が見込みにくい低トラフィックのユーザーが多いという。今後は,月額1960円で通話料がホワイトプランの半額となる「Wホワイトプラン」を3月に投入することで,高トラフィックのユーザーを獲得していく考えだ。
三つめは,割賦販売方式「新スーパーボーナス」の状況。同社は従来型の販売奨励金モデルによる販売も継続しているが,「新規契約の8割前後が割賦販売を選択している。機種変更は時期によってバラツキがあるが,5~7割が割賦販売だ」(孫社長)。経営上のメリットとしては,26カ月間の割賦契約となるため,端末利用期間の長期化,解約率の低下を見込めるとした。
「日本の販売方式は健全ではない」同社が割賦販売方式を導入した背景について,孫社長は「ユーザーの端末購入時に4万円前後の販売奨励金を出す日本の販売方式は健全ではない」(孫社長)との見解を示した。その理由として,1年未満で乗り換えるユーザーには,携帯電話事業者が赤字でサービスを提供する形になることを挙げた。「その分が他のユーザーへのしわ寄せになり,高い料金になっている」。
販売奨励金に関連してSIMロックに関してもコメントした。「割賦販売が10割になればSIMロックを外せるかもしれないが,従来型の販売奨励金モデルが残る限りは解除できない」(孫社長)。販売奨励金モデルでSIMロックを解除すると,安価に購入した端末を即座に海外に転売される恐れがあるためだ。