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独立行政法人 産業技術総合研究所(産総研)は2007年1月25日,CDあるいはDVDメディアから起動できるLinux「KNOPPIX 5.1.1日本語版」を公開した(写真1)。
KNOPPIXは,ドイツのKlaus Knopper氏が「Debian GNU/Linux」をベースに作成したLinuxディストリビューションである。ハード・ディスク駆動装置へのインストール作業を必要とせずに,CDやDVDからパソコンを直接起動して使用できるのが特徴だ(写真2)。
同氏は英語およびドイツ語での利用を前提にしたKNOPPIXを公開している。このKNOPPIXを産総研が日本語化するなどして提供しているのが,「KNOPPIX 日本語版」である。だれでも自由にダウンロードして無償利用できる。
KNOPPIX 日本語版の最新版となるバージョン5.1.1のカーネルにはKernel-2.6.19,標準Cライブラリのglibcにはバージョン2.3.6,コンパイラのgcc(GNU Compiler Collection)にはバージョン4.1.2が採用されている(写真3)。
NTFSへの書き込みに対応
KNOPPIX 5.1.1ではWindows XPやWindows Vistaの標準ファイル・システム(NTFS)にアクセスできるツール「ntfs-3g 20070102」が搭載されている(写真4)。
従来,同ツールは,NTFSファイル・システムからの読み出しには対応していたが,書き込みは難しかった。KNOPPIX 5.1.1に搭載されたバージョンでは,NTFSファイル・システムへの書き込みにも対応しているという。
X Window Systemには,「X.Org X11 R7.1.1」が採用されている。デスクトップ環境には,「KDE 3.5.5」(写真5),または「GNOME 3.3.5」(写真6)などが利用可能だ。
3DデスクトップのBerylを標準搭載
さらに,グラフィックス・カードのアクセラレーション機能を利用した「AIGLX」を有効にすることで,3Dデスクトップ環境の「Beryl 0.1.5」を用いてウインドウの半透明化や立体的なデスクトップを利用できる(写真7)。Berylを利用したい場合は,KNOPPIXのブート時に「knoppix desktop=beryl」と入力して起動すればよい。
アプリケーションも新版に
インターネット関連のアプリケーションでは,Webブラウザの「Iceweasel 2.0.0.1」,メール・クライアントの「Icedove 1.5.0.9」などが利用できる(写真8)。IceweaselとIceDoveはそれぞれ,FirefoxやThunderbirdのロゴなど商標に関連する部分を取り除いたり置き換えたりしたアプリケーションである。機能・性能はFirefox 2.0.0.1およびThunderbird 1.5.0.9と同等である。
オフィス・ソフトには「OpenOffice.org 2.1」が利用できる(ただし,含まれるのはDVD版のみ,写真9)。画像処理関連にはフォトレタッチ・ソフトの「GIMP 2.2.13」,ドロー・ソフトの「Inkscape 0.44.1」(写真10),マルチメディア関連ではマルチメディア・プレーヤの「MPlayer 1.0 RC1」や「Kaffeine Player 0.8.3」(写真11)などが利用できる。
USB版を作成可能
KNOPPIX 5.1.1では,USBメモリーにブート情報やカーネルなどを書き込んで,そこからパソコンを起動できる版(バージョン)を作成できる。USBメモリーへの書き込みなどは,対話的に行える(写真12)。
【修正履歴】本文中のglibcのバージョンおよび写真3の出力が間違っていましたので修正しました。(2007年2月9日)また,「グラフィックス・ライブラリのglibc」とあったのを,標準Cライブラリのglibc」に修正しました。(2007年2月25日) |