写真 既存のGE-PONインフラを使い,ユーザー宅まで1.25Gビット/秒の帯域占有を可能にするWDMアクセス技術のデモンストレーション
写真 既存のGE-PONインフラを使い,ユーザー宅まで1.25Gビット/秒の帯域占有を可能にするWDMアクセス技術のデモンストレーション
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 NTT武蔵野研究開発センタで開催中の「NTT R&Dフォーラム2007」で,NTTアクセスサービスシステム研究所が,既存のGE-PONシステムを使って家の中までGビット/秒クラスの帯域を占有できるシステムを初公開している(写真)。アクセス部分に,コア・ネットワークで使われるWDM(波長分割多重)技術を応用することで実現した。

 今回のシステムは,局舎側にWDM対応の送信機を設置し,ユーザー宅にはWDM対応のONU(光終端装置)を置く。現在NTTグループが展開しているGE-PONシステムのアクセス回線をそのまま生かしながら,家の中まで波長分割多重信号を伝送できるようにした。

 既存のGE-PONシステムでは,1.25Gビット/秒の帯域を最大32分岐するため,分岐するユーザーが増えるほど1ユーザー当たりの最大伝送速度は落ちてしまう。しかし今回のシステムでは,分岐後も波長多重した信号を伝送できるため,家の中まで1.25Gビット/秒の帯域の占有が可能になる。

 WDMをアクセス・ネットワークに応用する技術としては,WDM-PONの検討が始まっている。だが導入に伴ってアクセス回線に専用のスプリッタが必要になるなど,ネットワークを作り替える必要がある。それに対して今回のシステムは,「既存のインフラを利用してWDM-PONと同等の機能を実現できる点がポイント」(NTTアクセスサービスシステム研究所)。ネットワークへの投資を抑えながら,ユーザーの伝送速度を向上できる。さらには既存のGE-PONのサービスを継続しながら,同じインフラを使ってWDMアクセス技術を使ったサービスも展開可能になる。

 技術的に実用化のメドが立っており,2010年度の実用化を目指し研究開発を続けるという。