写真1 地上デジタル放送のIP同時再送信実験にも利用されている,「MPEG-2/H.264トランスコーダー・エンコーダー」
写真1 地上デジタル放送のIP同時再送信実験にも利用されている,「MPEG-2/H.264トランスコーダー・エンコーダー」
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 地上デジタル放送をIP網経由で同時再送信する際のキーとなるデバイスが,NTT武蔵野研究開発センタで開催中の「NTT R&Dフォーラム2007」で展示されている。地上デジタル放送の動画符号化方式をMPEG-2からより圧縮率の高いH.264方式にリアルタイムに変換する「MPEG-2/H.264トランスコーダー・エンコーダー」(写真1)だ。

 このデバイスは,NTTサイバースペース研究所が開発したもの。NTTグループが1月26日からNGN(次世代ネットワーク)トライアルで実施している,地上デジタル放送のIP同時再送信実験でも使われている。会場ではMPEG-2でビットレート14Mビット/秒の映像を,H.264の10Mビット/秒にリアルタイムに変換する様子をデモしている。

 変換による遅れは約2秒程度。圧縮後の映像も,素人目にはほとんど違いが分からないほどだ。だがNTTサイバースペース研究所よると,「まだまだH.264の機能をフルに引き出せているとは言えない」という。今回のデバイスは,汎用のチップを使って構成しているため変換効率は不十分。「現在,専用チップを開発中であり,変換時間の短縮やさらなる画質の向上が可能になる」。専用チップは今年度末から来年にかけて完成する予定だという。