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 2月8日,東京ビッグサイトで開催中のIT総合展「NET&COM2007」会場で,ITシステム構築の専門誌「日経SYSTEMS」の森山徹・副編集長が,「仮想化,どう使う?」と題した講演を行った。

 森山副編集長によると,現在,企業システムで仮想化技術を使う目的は,(1)サーバー統合,(2)既存アプリケーションの延命,(3)ホスティングの効率化,の三つである。中でも「サーバー統合の事例が非常に多い」。サーバー統合とは,多数の物理的なサーバー(物理サーバー)を少数の仮想サーバーへ移行させ,物理サーバーの台数を減らすもの。上手く実現すればサーバー運営コストの削減が見込める。

 また,既存アプリケーションの延命とは,老朽化した物理サーバーで「Windows NT 4.0」といった古いOSの上で動くアプリケーションに関すること。古い物理サーバーごと仮想サーバーへ移行させ,ハードウエアを一新させつつも,アプリケーションの継続利用を容易にする。ホスティングの効率化は,データ・センター事業者が仮想サーバー単位でホスティング・サービスを提供することで,ハードウエア資源の配分調整が簡単になるというもの。

 森山副編集長は,サーバー統合時に「1台の物理サーバーの上で何個の仮想サーバーを動かせばよいのか。キャパシティ・プランニング(容量の見積もり)が問題になる」と指摘。しかし,実際に取材してみると「サーバー統合に踏み切ったユーザー企業は厳密な見積もりを行っていない。実はある仕掛けを使って,統合したあとに調整している」というエピソードを披露した。

 ある仕掛けとは,仮想サーバーを二つの物理サーバー間で移動させるツールの利用である。仮想マシン・ソフト「VMware ESX Server」であれば「VMotion」,同「Xen」であれば「Live Migration」というツールが用意されている。これらのツールを使えば,初めの段階で適当に仮想サーバーを配置しても,物理サーバーの負荷状況を見て,他の物理サーバーへ仮想サーバーを移動させることができる。森山副編集長は,仮想化技術を使うサーバー統合は2段階になることが多いとし,「仮想サーバーならではの統合手順だ」と説明した。