写真●QuickTransitで,独立したSolaris環境をLinux上に構築する
写真●QuickTransitで,独立したSolaris環境をLinux上に構築する
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 ネットワールドはNET&COM 2007の特設会場「仮想化最前線2007」でSPARC版Solarisのバイナリをそのままx86版のLinuxで動かすソフトウエア「QuickTransit for Solaris/SPARC to Linux/Xeon(以下QuickTransit)」を展示している。QuickTransitの開発元は米Transitive。Transitive社は,x86ベースのMac OS XでPowerPCからx86コードへの変換を処理する機構「Rosetta」のコア技術の開発元でもある。

 SPARC/Solarisからの移行先にはアーキテクチャが比較的近いLinuxへの移行を考えるユーザーが多いが,バイナリの変更が不可欠で,それに伴って発生するテストやデバッグのコストを考慮するとポーティングには大きな手間がかかる。QuickTransitは,Linuxのディレクトリ・ツリーの中に独立したSolarisのディレクトリ・ツリーを作り,Solarisの環境をまるごとLinux上に移せる。移行したいアプリケーションそのものに加え,コマンドやシェルについてもポーティングせずに,そのままSolaris版を利用できる(写真)。SPARCの機械語からx86の機械語へはQuickTransitが動的に変換する。頻繁に実行する命令はキャッシュするため,パフォーマンスの低下を抑える。古くなったSPARCサーバーから最新のIAサーバーへ移行するシナリオが多く,現実には問題にならないことがほとんどだという。

 Transitiveの技術アドバイザリ・ボードにはVMwareの創業者であるMendel Rosenblum氏が就いており,VMware ESX Server上でのQuickTransitの運用も検証されている。VMwareの仮想マシンをサーバーからサーバーへと動的に移す「VMotion」やリソースを仮想マシン間で動的に配分する「VMware DRS(Distributed Resource Scheduler)」など,「VMware Infrastructure」製品群とも連携できる。