講演する日立製作所エンタープライズサーバ事業部第二サーバ本部Vプロジェクト主任技師の佐藤 秀俊氏。同氏は仮想化機構を支えるチップセットを設計する
講演する日立製作所エンタープライズサーバ事業部第二サーバ本部Vプロジェクト主任技師の佐藤 秀俊氏。同氏は仮想化機構を支えるチップセットを設計する
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 「仮想化は得られるメリットで選択する段階になった。当社のサーバー仮想化を選べば運用効率を向上できる」---。日立製作所エンタープライズサーバ事業部第二サーバ本部Vプロジェクト主任技師の佐藤 秀俊氏は、サーバー仮想化の講演でこう口火を切った(写真)。同氏は「ハードウエア透過性により運用性を向上した高信頼・高性能な日立サーバ仮想化機構」と題して、東京ビッグサイトで2月7日から開催中のNET&COM2007で講演した。

 1台の物理サーバー上で複数の仮想サーバーを動作させるという仮想化技術の実現手段には、大きくハードウエアとソフトウエアの二つある。日立が推し進めるのは前者のハードウエア・レベルでの仮想化だ。メインフレーム開発で培ってきた仮想化技術を利用し、独自のチップセット「ハードウエア・アシスト」を開発。これとItanium2プロセッサを組み合わせて、同社のブレード・サーバー「BladeSymphony」に「日立サーバ仮想化機構」と呼ぶ新技術を搭載している。

 ソフトウエアでの仮想化と比べたメリットについて、佐藤氏は「利用できるメモリー容量が大きいことや、バグやウイルスを原因とする論理サーバー間の不正アクセスを防止できること。さらに性能重視と信頼性重視を使い分けられる点」と述べる。例えばCPUのコアやI/Oモジュールについて、一つの論理サーバーが占有するか、複数の論理サーバーが共有するかを選択可能だという。ブレード・サーバーで複数のアプリケーションを稼働させている場合などに効果を発揮し、「データベース・アプリケーションにコアとI/Oを占有させることなど柔軟な運用ができる」(同)。

 仮想化技術はブレード・サーバーへのハード統合と連携してコスト削減にもつながる。佐藤氏によれば、「本稼働系と待機系のハードウエアをブレード・サーバーに統合して、仮想化機構でデータベースを共有することでTCOを36%削減したり、日中に負荷の高いオンライン処理サーバーと夜間に負荷の高いバッチ処理サーバーの統合でTCOを18%削減した」ケースがあるという。