SAPジャパンは2006年度、新規ユーザーとして650社を獲得した。その効果もあり、2006年度のソフトライセンス売上高は前年比17%増の1億3100万ユーロ(1ユーロ=156円換算で204億3600万円)を計上した。これは、SAP全体でナンバーワンの成長率という。SAPの全世界でのライセンス販売高は30億7100万ユーロ(固定為替レートで比較した場合、前年比12%増)だった。SAPジャパンが2月5日に開催した2007年度の戦略説明会で、ロバート・エンスリン社長が明らかにしたもの。

 新規に獲得した650社のほとんどが、中堅・中小企業である。1社あたりの案件は小粒で、「新規ユーザーが購入したライセンス数は平均すると100ユーザーくらい」(SAPジャパンの神戸利文営業統括本部地域営業本部バイスプレジデント)である。それでも2006年度の中堅・中小企業向けの売上高は、前年比43%増と好調だった。

 SAPジャパンは2007年度も「中堅・中小企業の攻略に力を入れ、2桁後半の成長率を目指す」とエンスリン社長は強気だ。最低でも今年度は70%増を計画しているものとみられる。そのために中小・中堅企業を担当する専門部隊を現行の80人体制から100人以上に増員する。

 さらにSAPジャパンにとって永遠の課題であるコンサルタント不足についても手を打つ。「年内にSAPジャパンだけで100人、パートナー企業で750人のSAP認定コンサルタントを増やしたい」(エンスリン社長)という。ここで問題になるのは増員する人材の質だろう。「SAPジャパンには製品・技術に強い人材よりも、業務に精通したコンサルタントを増やしてもらいたい。先日オラクルの業務アプリケーション担当者のプレゼンを聞いたが、SAPの担当者よりも業務を勉強していると感じた」(大手製造業のシステム部長)との声もある。

 SaaSについては、すでに一部のアプリケーションを対象に「SAP CRM On-Demand」として昨年から開始している。「常に平均10ぐらいの案件が走っている程度で、多くのユーザー企業がライセンスを購入する傾向が強い」(SAPジャパンの安田誠パートナー&マーケティング統括本部長バイスプレジデント)と述べる。SaaS形態でのビジネスの現状は決して芳しくないようだが、「今後もSaaS形態のビジネスモデルを検証しながら、継続していく」(同)とする。