社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)常任理事の菅原端男氏
社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)常任理事の菅原端男氏
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 社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)など著作権関連23団体は、米国の動画投稿サイト大手「YouTube」の幹部と、同サイトに流通する違法コンテンツについて防止策を協議したと、2007年2月6日に発表した。登壇したJASRAC常任理事の菅原端男氏は「解決への具体的な足がかりを築けた」と協議の手ごたえを語った。

 23団体が事前に申し入れていた対策は、(1)サイトのトップページに著作権に関する日本語の告知を掲載(2)投稿するユーザーには個人情報を登録させる(3)違法動画を投稿したユーザーのアカウントを無効にする、の三項目。実際の話し合いではこれらの三項目に加え、違法動画を自動検出する技術の可否についても協議した。

 2005年に登場したYouTubeは、自由に動画を投稿できる点でユーザーの支持を集め、米国ではメディアとして大きな位置を占めつつある。ただ、その勢力拡大の背景には著作権を侵害した違法コンテンツの流通があり、著作権団体などが問題視していた。YouTube自身は違法コンテンツに対しては厳しい見解を示しているものの、有効な対策は打ち出せておらず、事実上野放しの状態だ。

 今回の協議にかける著作権団体関係者の期待は大きい。しかしその一方で、巨大サイトでの個人情報管理や違法動画の自動検出などは技術的に困難であり、対策の実現性に疑問を呈する意見も多い。実際、今回の協議で実施のめどが付いたのは、先に挙げた三項目のうち、(1)の日本語表記による警告の掲載のみ。ユーザーの個人情報登録や違法動画の自動検出などの抜本的な対策は「話だけで具体的にはこれから」(菅原氏)と、先行きは不透明だ。