米Microsoftは2月第1週,「『Windows Vista』の音声認識機能はパソコンの乗っ取りに使える」と認めた。ところが,実際の攻撃に悪用されることは考えにくいとの理由から,Microsoftはこの問題を重要視していない。

 Microsoft Security Response Center(MSRC)のブログ記事によると,「技術的に悪用は可能だが,ユーザーのWindows Vistaシステムがどのような脅威にさらされるかを見極めるには,検討すべき条件がいくつかある」という。

 条件としては,まず音声認識機能が有効になっていて,パソコンのスピーカとマイクが使えるようになっている状態で,コマンドを含む音声ファイルが再生されなくてはならない。さらに,音声認識機能はWindows Vistaにある「ユーザー・アクセス制御(UAC,User Access Control)」機能の迂回には使えないので,攻撃の可能性は低くなる。

 率直なところ,何者かがインターネット経由でパソコンにこっそり音声ファイルを送り込めるという時点で,こうしたコンピュータ技術のことを悪く取り上げる人が出てくるのは仕方ないだろう。音声認識技術がよい技術かどうか定かではないが,何らかの影響をもたらすのは間違いない。