写真1 棚卸し作業のデモの様子
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写真2 サイズ在庫を調べているところ
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 京王百貨店は2月6日、無線ICタグを使った婦人靴の在庫検索システムを、複数の百貨店間で共有する実験の模様を公開した。これまで三越や高島屋が実利用してきたシステムをベースに共用可能なシステムを構築することで、コストダウンを図る狙いがある。

 共同利用にすることで、百貨店の初期導入コストは「数分の1」(開発を担当したNTTコムウェア)になる見込み。これまでは1システム当たり数千万円のコストがかかっていた。今回の実験には、京王百貨店と井筒屋、小田急百貨店、東急百貨店の4社が参加し、いずれも実験のあと実導入する見込みである。京王百貨店は6月の導入を予定する。三越や高島屋なども実験に参加しており、既存システムからの移行も検討している。

 実験で見せた店舗内のオペレーションは、これまで三越などが実施してきたものとほぼ同じである。婦人靴に貼り付けたICタグを、入荷時と在庫確認時、棚卸し時、売り上げ登録時にリーダーを使って読み取る(写真1)。これによって、サイズや色ごとの店内在庫を正確に把握できる。その在庫数を、店頭に設置したタッチパネルPCでリアルタイムに調べられる。平台型のリーダー上に、店員や顧客がICタグを付けた商品を置くと、サイズ違い、色違いの商品在庫が表示される(写真2)。顧客を待たせることなく、在庫の有無をチェックできる。

 京王百貨店の実験は、新宿店1Fの婦人靴売り場で、2007年1月22日から2月12日まで実施する。「NATURAL BEAUTY」、「SONIA RYKIEL」、「Marie」の3ブランドの婦人靴にICタグを貼り付ける。

 また、先行導入した百貨店では、ICタグの再利用を前提としていたが、今回の実験では、使い捨てのICタグも併用する。再利用のための作業などをなくすことで、業務効率化の効果を検証する。ただし使い捨てのICタグはランニング・コストがかさむことから、実用化の時期は未定である。今回の実験は、経済産業省の「平成18年度電子タグ実証実験」の一つ。