有名音楽グループThe Beatles(ビートルズ)が設立した英Appleとパソコン・ベンダーの米Appleは,商標「Apple」の使用に関する新たな提携を結んだ。米Appleが米国時間2月5日に明らかにした。米Appleが商標関連のすべてを取得し,英Appleに一部使用をライセンスする。米Appleは引き続き「iTunes」において「Apple」の名称とロゴを掲載する。

 これにより,両社間で争われていた訴訟が終結する。金額などの条件は明らかにされていない。なお,両社の訴訟費用はそれぞれが負担する。

 米AppleのCEOであるSteve Jobs氏は「われわれはビートルズを愛している。商標を巡って争うのは辛いことだった」と述べた。また,「建設的な方法で解決し,将来さらなる不和が起こりうる可能性を取り除けたことをすばらしいと思う」と付け加えた。

 両社は1991年に「Apple」の使用について合意を結び,英Appleは音楽事業やビートルズ関連のアーティストおよび商品など,米Appleはコンピュータやデータ処理,通信事業などの領域で商標を用いることが許可されていた。

 米Appleが2003年に有料音楽配信サービス「iTunes Music Store」(現「iTunes Store」)を開始すると,英Appleはこれが音楽事業の領域において商標を使用していると見なし,1991年の合意条件に違反しているとして提訴。しかし,2006年5月に英高等法院は「iTunes Music Storeは音楽コンテンツの“データ伝送”であり,1991年の協定では米Appleに対して通信領域における商標の使用を認めている」として英Appleの主張を退ける判決を下していた(関連記事)。

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