日本ヒューレット・パッカード(以下,日本HP)は2月5日,データセンター事業者やユーザー企業が所有するデータセンター(サーバー・ルーム)の電力消費を抑制するサービス「HPスマート・クーリング・ソリューション」の提供を開始した。

 HPスマート・クーリング・ソリューションは,データセンター内のサーバー・ラックや空調設備の設置場所,床下から冷却した空気を排出するベンチレーション・パネルの位置などを最適化することで,空調設備にかかる電力コストを削減する。既存のデータセンターの電力消費量を削減する「サーマル・アセスメント・サービス」と,新規に開設・拡張するデータセンター向けの「サーマル・プランニング・サービス」から成る。エンジニアが現地で調査したり,空気の流れや室温分布をシミュレーション・ソフトで分析したりして,ラックや空調設備の最適な配置を提案する。

 米HPは既に,自社のデータセンターにおいて,空調設備の電力コストを約30%抑制することに成功しているという。「(HP製サーバーの購入を検討しているユーザー企業の担当者から,)『サーバーを追加したくても,データセンターの設備がボトルネックとなり,それもままならない』といった相談を頻繁に受けるようになったため,サービスの提供開始に踏み切った」(ソリューションビジネス開発推進本部 ソリューションビジネス開発部長 大畑賢二氏)。

 大畑氏は,「ファシリテーション専門会社の中には同様のサービスを提供しているところもある。ただし,大手サーバー・ベンダーとして大々的にサービスを提供する例は過去にない。データセンターには電力消費量を抑制する余地がまだまだあることを幅広いユーザーに認知してもらえればよい」と語る。

 価格は個別見積もり。参考価格は,500平方メートル程度のデータセンターを対象としたサーマル・アセスメント・サービスが400万円から。