NECと富士通の2社は、企業向けにWeb2.0関連ビジネスに注力し始めた。すでに部分的に事業化を開始しているが、「今年中にもさらに強化していきたい」(2社の担当者)と語る。
両社は大きく二つの分野を狙っている。一つは顧客企業がWeb2.0を自社のビジネスに生かすための支援。具体的には、インターネット上の複数のブログから、その企業の商品の評判を収集して分析する、マーケティングのコンサルティング・サービスなどがある。二つ目は、Web2.0の考え方や文化を企業内に取り入れる支援である。社内SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の構築サービスなどがそれに当たる。
一つ目に関して、富士通子会社のニフティが2006年4月から、Webマーケティング・サービス「BuzzPulse」を提供している。商品名称などがインターネット上で好意的に受け取られているか、そうではないかなどを時系列で分析する。「顧客の生の声を経営に届ける、これまでにないツールとして数社に利用されている」(富士通 マーケティング本部企画部の五十嵐司 担当部長)。NECも、子会社のNECビッグローブで消費者向けに展開している、インターネット上の評判分析サービス「旬感ランキング」を企業のマーケティング部門向けに提供することを検討し始めている。
二つ目については、NECは06年10月に、ブログ・ソフトを手がけるドリコムと提携し、企業向けブログ構築サービスの提供を開始した。NECの藤岡忠昭マーケティング本部長は「グループウェアの掲示板などとは違った、フランクな意見交換の場を作ることができる」という。富士通も子会社の富士通ソフトウェアテクノロジーズが同月、企業向けSNS構築ソフト「知創空間」の出荷を開始した。
こうしたサービスの開始に先駆け、両社とも社内でSNSやブログを活用している。NECは04年9月から、グループウエアや業務上のノウハウを集めたデータベースのほかに、ブログ・サイト「イノベーション カフェ」を用意。すでに執筆者が約1500人、閲覧者が約6500人に達した。「明日までに企画書を作らなければいけない、といった書き込みをすればそれに対して1日で10~20件くらいの返信の書き込みがある。簡単に社内のアイデアを集めることができて、ワークスタイルが変化していると感じる」と社内ブロガーの福岡秀幸企業ソリューション企画本部エキスパートは語る。
富士通でも「正確な数字は把握していないが、数千人が参加し、数百というコミュニティが自然発生的に形成されている」(五十嵐担当部長)という。両社はこうした社内の事例を顧客への提案に役立てていく。