写真1 テレビポータルサービスの水谷祐司ポータル編成グループ グループマネージャー
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 シャープ,ソニー,松下電器産業,東芝,日立製作所の家電メーカー5社とソネットエンタテインメントが共同で出資する「テレビポータルサービス」は2月1日,ネットワーク対応テレビ向けのポータル・サービス「アクトビラ」を開始した(参考)。松下電器産業のテレビ向けポータル・サービス「Tナビ」とソネットエンタテインメントの同様のサービス「TVホーム」を統合し,新たに「アクトビラ」として生まれ変わった形になる。アクトビラの特徴や目指すサービス像について,テレビポータルサービスでポータル編成グループ グループマネージャーを務める水谷祐司氏(写真1)に話を聞いた。(聞き手は堀越 功=日経コミュニケーション

--アクトビラがTナビやTVホームから変わった点は


写真2 アクトビラのサービス例。ボタンを押さなくても,自動的に画面が切り替わる。テレビに近い感覚で利用できる
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 ユーザー・インタフェースをよりテレビに近い形に変更した点だ。ユーザーがリモコン操作しなくても,トレンド情報などがスライドショー形式で自動的に切り替わっていく(写真2)。テレビの“ながら見”のように,ユーザーが何もしなくてもアクトビラが様々な情報をプッシュ配信する。ユーザーが気になった情報があれば,スライドショーの中の該当する写真を選択することで,より詳しい情報を載せたページに飛ぶことができる。

 アクトビラを始めるにあたって,これまでの反省も踏まえ,改めてテレビ向けのポータル・サービスの形について議論を重ねた。そこで出てきたのは,ユーザーはテレビ番組の視聴の流れでポータル・サービスを使うのではないかという仮説だった。従来のTナビやTVホームのサービスはインターネットのポータル・サイトをテレビに移植したスタイルに近く,テレビ視聴のスタイルとはギャップがあった。

 アクトビラでは画面内の写真を大きくし,スライドショー式で写真を自動的に切り替えることで,よりテレビに近いスタイルにひた。我々自身も,予想以上に「これはイケる」と思ったほどだ。

 もちろんTナビなどで用意していた,地図情報や交通情報などの提携コンテンツ・プロバイダーのサービスも提供している。

--アクトビラのポータルからはインターネットに出て行けないのか。

 クローズな形でコンテンツを提供しているので,直接インターネットへは出て行けない。パソコンのようにインターネットの情報を積極的に検索するような使い方は,テレビを前にしたユーザーには向いていないと考えている。ユーザーはテレビに対して受動的な態度で接しているからだ。アクトビラで導入した,おすすめ情報をプッシュ配信する形のほうがテレビには向いている。

 なおアクトビラ対応テレビのブラウザには,URLを直接入力できる機能がある。この機能を利用すれば,アクトビラのポータルを経由せずに,直接インターネットのコンテンツをテレビに表示することは可能だ。

--今後のサービスの拡充予定は。

 動画対応が次の大きなステップだ。2007年度中にストリーミング形式のビデオ・オンデマンド(VOD)サービスの提供を予定している。

 3年ほど前からTナビなどのサービスを提供していたとはいえ,ネット対応テレビの認知度はまだまだ低い。テレビをインターネットに接続したら,こんなに楽しいことができるということをもっとユーザーに知ってほしい。アクトビラの開始はゴールではなく,ようやくスタート地点に立ったという認識だ。