ヘラクレス市場に上場する大阪のシステム・インテグレータ、デジタルデザインは2月2日、大阪地方裁判所において日本IBMとネットマークス、および両社の担当者を相手取り、売買代金の支払いを求める訴訟を起こしたことを発表した。主に、2006年3月と4月に発生した六つの案件について、日本IBMに12億1300万円と遅延損害金の支払いを求めている。

 問題となっているのは、厚生労働省と国保連合会を納品先として、デジタルデザインがネットマークスからハードウエア機器などを仕入れ、日本IBMに販売する取引。日本IBMの官公庁事業部長(当時、すでに退社)から、注文書と納品受領書を受け取ったデジタルデザインは、6案件中3案件分の11億8900万円をネットマークスに支払ったものの、日本IBMからは法的根拠がないとして代金を受け取れなかった。一方、ネットマークスは、取引は有効であると主張し、支払い済み代金の返金に応じていないという。

 債権を回収できないデジタルデザインは2006年8月22日、それまでの経緯を業績に影響を与える可能性のある事象が発生したと発表していた。その後、関係各社と協議を続けてきたが、日本IBMが「3社が相互に免責し、かつそれぞれに対して本件に関する一切の請求ならびに権利行使をしないことを書面にて合意することを条件に7億7000万円を支払う」と提案してきたため、提訴したとしている。

 今回の訴訟でデジタルデザインは、(1)取引が存在する場合は日本IBMが代金の12億1300万円と遅延損害金を支払うこと、(2)当該案件が不正取引の場合は、日本IBMとネットマークス、両社の担当者が12億5800万円(支払い済み代金と弁護士費用の合計)と遅延損害金を支払う、(3)契約は架空だが不正取引が確認できない場合はネットマークスが11億8900万円と遅延損害金の支払いを求めている。

 今回の起訴について日本IBMは、「現時点では訴状が届いていないため、何も話すことはできない」(広報)としている。