日本IBMは2月2日、米IBMが1月29日(現地時間)に米国のソフト会社「Softek Storage Solutions Corporation(Softek)」の買収に向けた正式契約を締結したと発表した。このSoftekは、もともとは富士通のストレージ管理ソフト事業部門がMBO(マネジメント・バイアウト)方式で誕生させた企業。富士通製ストレージ「ETERNUS」にはSoftek製ソフトが搭載されている。富士通にすれば、有力な提携企業をIBMにさらわれた格好だ。

 IBMが買収するSoftekは、ストレージに搭載したデータの移行やバックアップ、ストレージ管理といったソフトを開発。メーカーやOSが異なるストレージ間でシステムを止めずにデータを移行する技術などに定評がある。同社は、富士通の米国子会社、富士通コンピュータ・システムズ(FCS、旧アムダール)の子会社として2000年4月に創業し、04年4月に分離独立した。

 富士通はSoftekと複数年にわたるOEM契約を結んできた。昨年4月にSoftek製品を「ETERNUS SF」と名称変更したものの、現在も販売を続けている。今回の買収について富士通は、「IBMからはまだ話がなく、現時点ではコメントできない。ただ、昨春の名称変更に前後してストレージ管理ソフトの内製化を進めているため、今後の販売計画に大きな影響はない」(広報)とする。一方のIBMは、富士通へのソフト供給計画について、「現時点では未定」(日本IBM広報)としている。

 IBMはSoftekを、グローバル・テクノロジー・サービス(GTS)の中のストレージ・アンド・データ・サービス事業部門に統合する。システム製品事業部門やソフトウェア事業部門ではないのは、Softek製品をミドルウエアとして売ったり、ストレージ製品の拡販に使うのでなく、ストレージ統合やデータ移行といったサービス事業を強化するためのツールに位置付ける戦略だからだ。買収手続きは今年3月までに完了させる。買収金額は公表していない。