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 オープンソース・ソフト(OSS)のESB(エンタープライズ・サービス・バス)ソフト「Mule」を開発する米ミュール・ソースは5月、メジャー・バージョンアップ版「Mule 2.0」をリリースする計画だ。これまで、Muleの弱みだと指摘されていた信頼性と管理ツールの充実を図る。同社のデイブ・ローゼンバーグCEO(最高経営責任者、写真左)は、「もはやOSSだからといって商用製品に見劣りしているということはない」と、強調する。

 Mule2.0での機能強化で目玉となるのは、サーバー停止時に待機系サーバーに処理を引き継ぐめの「ホットデプロイ」機能の追加。このほか、Mule向け統合開発環境「Mule IDE」を強化し、連携したシステム間でメッセージがきちんと伝達できるかをテストする機能などを追加する。同社の共同設立者のロス・メイソンCTO(最高技術責任者写真右)は、「Muleは元々、40メガバイトと軽量なアプリケーション。6分間に1000万メッセージを送受信できるなど、パフォーマンスには自信がある。次のバージョンアップでは、管理面の機能を中心に強化した」と話す。

 ミュール・ソースはMuleを無償公開し、その有償サポート・サービスで収益を上げている。1000人を超える技術者が開発コミュニティに参加し、Muleの改良に取り組んでいる。これまでに同社Webサイトからダウンロードされた件数は、50万件以上。同社と有料サポート契約を結ぶ企業は、「金融や製造など100社以上あり、合計で何千台というサーバーで稼働している」(ローゼンバーグCEO)という。日本では、オージス総研が提携し、Muleの有償サポートを提供する。

 ESBソフトは、SOA(サービス指向アーキテクチャ)に基づくシステムの基盤となるシステム連携用のミドルウエア。米ソニックソフトウェアや米IBMや米BEAシステムズなどが主要商用ベンダーだ。OSSのESBソフトは、「Muleくらいしか選択肢がない」(ローゼンバーグCEO)という。すでに、システム間でやり取りするメッセージのプロトコルやデータ型の変換など基本機能では、各社製品間の差はなくなっている。そのため、各社は処理性能や信頼性、管理ツールの充実度などで競っている。