仏アルカテル・ルーセントは1月31日,ソフトバンクモバイルに第3世代携帯電話用の屋内基地局を提供する契約を締結したと発表した。同社がソフトバンクモバイルに提供する基地局は,従来の基地局よりもセル半径が狭い「ピコセル」と呼ぶエリアを構成するためのもの。設置場所はオフィス・ビル内や商業施設内などを想定する。

 ソフトバンクモバイルが採用する屋内基地局は,HSDPA(high speed downlink packet access)にも対応。屋内でのモバイル・ブロードバンド・サービスの提供エリアおよび容量を拡大できる。また屋内エリアを増やすことで,既存のマクロセル型基地局の負荷軽減やネットワークの輻輳(ふくそう)の解消も期待できると説明している。なお,基地局の詳細仕様や台数,金額などは発表されていない。

 アルカテル・ルーセントの発表によれば,ソフトバンクモバイルに提供する基地局の特徴は次の2点。(1)ユーザーの近くに設置し,低出力のセルで高いパフォーマンスを実現できる,(2)企業ユーザー向けに固定と携帯の融合サービスを実現する機会を提供できる,としている。(2)について,ソフトバンクモバイルは「当初はエリア拡大のためのもので,携帯と固定を融合したサービスをすぐに提供するわけではない」とコメント,まずは“つながる”場所を増やすことを優先する。

 ソフトバンクモバイルは2006年度末(2007年3月末)までに,4万6000基地局を設置することを公約としていたが,展開は遅れ気味。1月5日の「ホワイトプラン」の発表会(関連記事)や,1月25日の春商戦向け新製品発表会(関連記事)で,孫正義・代表執行役社長は「2,3カ月は遅れるかもしれないが,4万6000という公約は守る」と発言していた。同社によると「4万6000局の中にはアルカテル・ルーセントの屋内基地局も含まれる」(ソフトバンクモバイル広報)という。

 今後同社は,制御部と無線部を分離して設置できる基地局(関連記事)などと合わせ,エリア拡大を進めていく。