国内のソフトウェア・ベンダー18社で構成するMIJSコンソーシアムは2月1日,「MIJSカンファレンスJAPAN2007」を開催,ソフトブレーンの宋文州氏が基調講演を行った。「エンジニアは生産効率の高いシステムを提案し,早く家に帰ろう。ユーザーと徹底的に議論し,パッケージ導入で標準化する部分と,経営環境に合わせ柔軟に対応する部分を明確に切り分けることだ」と語り,3K職場とさえ言われるソフトウェア業界の現状を変えようと呼びかけた。

 日本でパッケージ・ソフトが普及しなかったのは,ユーザーが“自社業務の特殊事情”に合わせたシステムを要求するためと言われる。またパッケージを導入したとしても,カスタム化する部分が少なからず発生し,開発者は残業に追い回されることになる。

 「こうした現状を打破するには,ユーザー企業と開発者の両方が,システム開発に対する認識を根本的に変えることが必要だ。私の目から見ると,ユーザーが主張する“自社の特殊事情”にはさほど重要ではないものも多い。その部分はパッケージを導入して業務を標準化し,もっと戦略的にビジネスを強化する部分に開発のリソースを注ぎ込んだ方がいい」(宋氏)。

 前提として,開発の初期の段階で,ユーザー企業と開発側が徹底的に議論する必要があるが,「これがあまりできていないところに問題がある」と宋氏は指摘する。自社の特殊事情にこだわったり,過去のソフトウェア資産を捨てたくないユーザーを説得するのは容易ではない。しかし,長期的な視野に立って,ユーザーにとって最適な選択を提案していくことが開発者には求められている。

 また宋氏は日本のソフトウェア産業の国際競争力についても言及した。「日本のソフトウェア・ベンダーが結束するメイド・イン・ジャパン・ソフトウェア(MIJS)のような活動はとてもいいと思う。各社の強みを結集して1つの大きなブランドを作れば大きな力になるからだ」と宋氏はエールを送り,ベンダーに対しても,“自社技術”にこだわるあまりビジネスの拡大や業界の発展を阻害している面があると示唆した。

 グローバル社会においては「規模(たくさん売れる)」は力であり,ブランドを強くする。「90年代,サムスンはソニーをお手本にしたいと言っていたが,今や世界的に見るとサムスンのブランド力の方が強い。グローバルにたくさん売れているからだ」(宋氏)。

 日本ではM&Aによる企業規模の拡大が活発ではない。MIJSコンソーシアムという企業集合体が日本のソフトウェア・ブランドを世界に発信できるかが注目される。