米Microsoftは1月第4週,海賊版対策プログラム「Windows Genuine Advantage(WGA)」にバグがあり,正規版Windowsを海賊版と誤判定した例が大量にあったことを認めた。実はかなり以前から,多くの人々がWGAに疑いの目を向けていた。ただしMicrosoftは,「WGAで検証した導入済みWindowsの22%以上を正しく海賊版と判断し,大きな成果を上げた」とみている。

 Microsoftによると,5億1200万人以上のユーザーが,WGAでWindowsの検証を行ったという。その結果,1億1400万システム(全体の22.3%)が不正コピー品または海賊版と判定された。Microsoftは米InformationWeekに対し,「この数字は,35%と推定される全世界の海賊版ソフトウエア使用率に比べ相当小さい」と述べた。

 不正コピー品とみなされた1億1400万システムのユーザーのうち,Microsoftから正規版Windowsを入手するのに必要な不正コピー品報告書を提出したユーザーは5万6000人いた。報告書には,海賊版の疑いがあるWindowsを提供したシステム構築者やベンダーなどを明記しなければならない。報告書の提出率が低いのは,この条件のせいだろう。

 Microsoftは海賊版と誤判定したWindowsシステムの正確な数まで公表していないが,同社のWGA担当ディレクタであるDavid Lazar氏は「WGAで検証したシステムの『1%の2分の1』未満」とする。つまり,これまで数10万人規模を超えるユーザーが海賊版を使っているとMicrosoftに非難され,誤判定の原因を見つけてWGAで正常に検証してもらうという作業で苦痛を強いられた。Microsoftは「ほとんどのケースで,原因を特定して問題を修正できる」としている。ところが,調査に苦労するのはユーザーなので,WGAプログラムの開始当初からMicrosoftが批判の対象となっていた。

 予定通り1月30日,Microsoftは「Windows Vista」の消費者向け販売を正式に始める。Windows Vistaには,強化版WGAが搭載されるはずだ。海賊版と疑われたWindows Vistaは使用できる機能に制限がかかるため,そのシステム内のデータをほかのシステムにコピーして使うことになる。なお,この機能制限モードで正常に動く同こんアプリケーションは,「Internet Explorer 7」だけである。