マイクロソフトは1月29日(米国時間),Windows Vista用の「更新プログラム」(いわゆる修正パッチ)を大量に公開した。更新プログラムは合計13件で,それぞれ32ビット版用のものと64ビット版用のものが公開されている。13件の更新プログラムのうち1件が「重要な更新プログラム」とされている。「セキュリティ更新プログラム」は含まれていない。

 更新プログラムとは,OSに存在するバグを修正するプログラムである。更新プログラムの中でも,マイクロソフトが「重要」と判断したものは,OSの自動更新機能で配布されることになっている。それに比べて相対的に重要度の低い更新プログラムは,Windows UpdateやMicrosoft Updateで「推奨」として提供されたり,マイクロソフトのWebサイト「ダウンロード・センター」で提供されたりする。

 今回公開された重要な更新プログラムは,「Windowsのエラー報告機能によって,一部のアプリケーション・エラーに関する情報が通知なしにMicrosoftへ送信される場合があるという問題」(KB930857)に対して,その原因となっている不具合を修正するものである。プライバシーにかかわる情報が,ユーザーに断りなくマイクロソフトに送信される可能性があるという,非常に問題があるバグだ。Windows Vistaのユーザーは漏れなく適用するのが望ましい。

 マイクロソフトが公開した更新プログラムを,で紹介しよう。表では,自動更新できるものと,Windows Updateで入手できるもの,ダウンロード・センターでしか入手できないものを,編集部の判断で区別して掲載している。これらは,マイクロソフトのサポート技術情報(KB)やWindows Vistaの実機で調査した。更新プログラムをダウンロード・センターで入手するには,ダウンロード・センターの画面左側にある「製品グループ」から「Windows」を選び,「選択ダウンロード」というプルダウン・メニューから「Windows Vista」を選択するとよい。

KB番号 公開場所 修正するバグ
KB930857 自動更新 Windowsのエラー報告機能によって,一部のアプリケーション・エラーに関する情報が通知なしに送信される問題
KB925528 Windows Update 一部のUSBデバイスで発生する信頼性の問題
KB928089 ダウンロード・センター 複数のフレームを含むWebページにアクセスした場合,または複数のフレーム間で頻繁に移動が発生した場合に発生するInternet Explorerのフィッシング・フィルタのパフォーマンス問題
KB929427 ダウンロード・センター アプリケーション互換性に関する問題
KB929615 Windows Update オーディオの副チャンネルで使用するように指定した言語が受信できなくなるWindows Media Centerの問題
KB929685 Windows Update スリープまたは休止状態からシステムを復帰した後で高精細オーディオ・デバイスが初期化できなくなる問題
KB929735 ダウンロード・センター グレゴリオ暦を使用せずに日付オプションを指定して検索を実行したときに,Windowsサーチで完全な結果が返らない問題
KB929761 Windows Update /quietスイッチを使用してMicrosoft Updateをインストールした場合に,更新プログラムに新規または更新されたEULAが含まれていると失敗する問題
KB929762 Windows Update IEEE 1394ハード・ドライブを接続した状態で休止状態から復帰するとシステムがクラッシュ可能性がある問題
KB929763 Windows Update 「Mongolian Baiti」フォントでモンゴル語のテキストが正しく表示されない問題
KB929777 Windows Update 一部のハードウエア構成が存在する場合にシステムがクラッシュするという「storport.sys」の問題
KB930163 Windows Update アクティブな有線接続から別の有線接続/無線接続に切り替えた後で,VPNによるリモート・ネットワークへの接続に失敗する問題
KB931573 Windows Update デバイス・ドライバやプログラムをインストールすると,アクティベーションが求められるようになる問題

 Windows Vistaのアップデート機能「Microsoft Update」ではこれまでも,スパイウエア対策ソフトの「Windows Defender」用の定義ファイルの最新版が「重要な更新プログラム」として提供されていたが,バグの修正を行う更新プログラムが公開されるのは初めて。