ソニーエナジー・デバイス製のノートパソコン向けリチウムイオン2次電池の発火問題で、交換対象となっているバッテリーパックを搭載した富士通のノートパソコンが2006年12月に発火事故を起こしていたことが明らかになった(富士通のサポート情報)。

 事故があったのは2006年12月28日。ノルウェーのオスロ市内で、ユーザーがモバイルノートパソコン「FMV-LIFEBOOK S」をかばんに入れて持ち運んでいたところ突然煙が出て発火。このユーザーは持っていた飲料水をかけて消火し事なきを得たという。富士通では、2007年1月初頭に事故機を国内に運び、ソニーと共同で事故原因の調査を進めているが、現時点では発火に至った具体的な理由は明らかになっていない。

 事故発生から公表まで1カ月かかったことについて富士通では、「当社としては事故原因を究明した上で早急に公表する方向で調査していたが、事故機の輸送と原因究明に時間がかかっていたため公表が遅れた。原因究明にはまだ時間がかかる見込みのため、原因は未解明だが事故の発生を先に公表することにした。意図的に公表を遅らせたわけではない」(富士通 広報IR室)としている。

 同様の事故がさらに発生する可能性については、「事故の詳しい状況はまだつかめていないが、これまでソニーと当社で調べた限りでは、製造上のレアなケースであると判断している。今後同様の事故が発生する可能性は極めて低いと考えている」(富士通 広報IR室)。

 なお、「FMV-LIFEBOOK S」の欧州向けの製品は、開発・設計を富士通が、組み立てと販売を独富士通シーメンスコンピューターズがそれぞれ担っている。

回収率は国内69%、海外は2%にとどまる

 富士通によると、一連の不具合に伴い交換を呼びかけているバッテリーパックは日本国内で7万8000個、海外で26万個。2007年1月29日現在の回収率は、国内が69%、海外は2%という。いまだ回収されていないバッテリーパックが多数あることから、同社は交換の受付期限を当初の2007年1月31日から半年延長し、2007年7月31日とした。引き続き、Webサイトや法人営業などを通じて交換を呼びかけていくとしている。

 また、交換対象のバッテリーパックを200個追加したことも明らかにした。ソニーからの情報に修正があったことに伴うもの。新たに交換対象となったのは、モバイルノートパソコン「FMV-BIBLO LOOX P」「FMV-LIFEBOOK P」用バッテリーパックの一部で、物品番号がCP229721-01、製造番号が6105のもの。

 日本国内のユーザーからの問い合わせや交換申し込みは、引き続き電話(0120-143025)またはWebサイトで受け付けている。