米Adobe Systemsは,文書ファイル・フォーマット仕様「Portable Document Format(PDF)1.7」を企業コンテンツ管理に関する非営利組織AIIM―The Enterprise Content Management Associationに提出し,国際標準化機構(ISO)での標準化を目指す。Adobeが米国時間1月29日に明らかにした。ただし,具体的な作業スケジュールについては伝えていない。

 PDFは,OSやアプリケーションに依存せず文書ファイルを交換するためのファイル形式で,Adobeが1993年に仕様を公開した。その後Adobeは,ISOのさまざまな技術仕様策定ワーキング・グループに参加し,PDFサブセット仕様の標準化に取り組んできた。

 既に「PDF for Archive(PDF/A)」と「PDF for Exchange(PDF/X)」がISO標準規格となっており,現在「PDF for Engineering(PDF/E)」と「PDF for Universal Access(PDF/UA)」が標準化作業中である。AIIMは,PDF/A,PDF/E,「PDF for Healthcare(PDF/H)」仕様を管理している。

 AdobeはPDF 1.7仕様のサブセットではなく全体をベースにして,AIIM内の検討委員会で標準化用の仕様草案を策定する。この草案をISOに提出し,標準規格としての承認を働きかける。

 なお文書ファイル・フォーマット仕様としては,PDF以外に,XML関連の標準化団体Organization for the Advancement of Structured Information Standards(OASIS)が標準化した「Open Document Format for Office Applications(OpenDocument/ODF)」と,米Microsoftの「Office Open XML(OOXML)」が存在する。

 ODFはISO標準にもなっており,OOXMLは国際的な標準化組織Ecma Internationalが標準として承認した。さらにOOXMLは,ISO標準化に向けた作業を進めている。

 米メディア(InfoWorld)によると,Adobe製品管理担当マネージャのSarah Rosenbaum氏は「PDFの全仕様を標準化するという当社の決定は,ODFおよびOOXMLの標準化に向けた動きと無関係」と述べたという。

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