写真1 ユニバーサルサービス制度の将来像に関する研究会第1回の様子
写真1 ユニバーサルサービス制度の将来像に関する研究会第1回の様子
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 総務省は1月29日,「ユニバーサルサービス制度の将来像に関する研究会」の第1回会合を開催した(写真1)。ユニバーサルサービス制度とは,電話サービスを全国あまねく提供するために必要な費用を通信事業者全体で負担する制度。2007年1月に実運用が始まったばかりだが,総務省は今後のIP化の進展などを踏まえ,制度のあるべき姿を幅広い観点で見直していく方針を打ち出した。

 第1回は,総務省がユニバーサルサービス制度の現状と課題を説明し,今後の検討項目をまとめた「ユニバーサルサービス制度の将来像に関する検討アジェンダ(案)」を提示した。同アジェンダでは,ユニバーサルサービスの構成要件から対象範囲,概念の是非,適格電気通信事業者の指定要件,コストの算定/負担方法までを再検討の対象としており,ほぼ全面見直しに近い内容となっている。

 例えば現状では,ユニバーサルサービスの構成要件として「国民生活に不可欠」(essentiality),「誰もが利用できる」(affordability),「地域間格差なくどこでも利用できる」(availability)の三つの条件を満たすことが前提となっているが,これが必要十分かを問うている。また対象範囲は,IP電話や携帯電話といった現状の固定電話に代わる通話手段に加え,ブローバンドを含めたユニバーサルアクセスの導入を検討することまで含んでいる。

 研究会は同アジェンダを2月1日に公開し,パブリックコメントを募集する予定。意見募集の結果を踏まえ,幅広い観点から制度の将来像を検討し,11月をメドに複数の案を報告書にまとめる方針である。また今回の研究会はフィジビリティ・スタディの位置付けで,実際の見直しに向けた本格的な議論は2009年を予定する。