「Penryn」を実装するCPUのダイ写真。45nmという微細プロセスで製造される
「Penryn」を実装するCPUのダイ写真。45nmという微細プロセスで製造される
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 米インテルは2007年1月26日(米国時間)、45nmの微細プロセスで製造する次世代CPU「Penryn」(ペンリン、開発コード名)ファミリーの動作サンプルを公開した(発表資料)。Penrynは現行のCoreマイクロアーキテクチャーの後継となるマイクロアーキテクチャー。これを実装する製品として、新しいCore 2 DuoやCore 2 Quad、Xeonなど15種類以上のCPUが、2007年後半以降順次登場する見通しだ。

 Penrynは、最大で12MBの容量を持つキャッシュを搭載、新たに約50個のSSE(Streaming SIMD Extensions)4というマルチメディア向けの拡張命令を実装する。デュアルコア製品で4億個以上のトランジスター、クアッドコア製品では実に8億個以上のトランジスターを集積する。開発コード名をConroeと呼ばれていた現行Core 2 Duoが約2億9100万個であることを考えると、同じデュアルコア製品でもトランジスター数は1.4倍以上も増加していることになる。

 集積するトランジスターを増やすことが可能になったのは、製造プロセスが45nmになったため。現行製品は65nmプロセスで製造しているが、新しい45nmプロセスを使えば、集積度は約2倍に向上する。45nmプロセスのメリットはそれだけではない。トランジスターは言ってみればスイッチの役割を果たすが、そのスイッチのオン/オフに必要な電力が約30%削減でき、省電力にも効果がある。

「ムーアの法則」を10年延長

 製造プロセスの微細化には、リーク電流が最大の課題。リーク電流というのは、トランジスター本来の動作とは関係のない電流が内部で漏れ出すことをいう。リーク電流が発生すると、消費電力が増え、発熱が高まる。このリーク電流が、製造プロセスの微細化と動作周波数向上の大きな壁であった。

 このリーク電流を解消するため、インテルは45nmの新プロセスに「High-k」と呼ばれるゲート絶縁膜と、新しい金属ゲートの材料を採用した。これら2つの組み合わせにより、ソースドレインのリーク電流は従来の5分の1にまで削減できたという。

 同社創業者の一人ゴードン・ムーア氏が提唱した経験則に「1つのチップに集積されるトランジスターの数は約2年で倍増する」という「ムーアの法則」がある。同社は、今回の45nmプロセスの登場で、この先10年にわたってこの法則を継続できるとしている。