インテルの45nm高誘電率(high-k)絶縁膜と金属ゲート電極を採用したスタック
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「Penryn」のダイ写真
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 米Intelは,45nmプロセス・ルールによるプロセサの試作に成功した。Intelが米国時間1月27日に明らかにしたもの。同プロセス・ルールは,「Intel Core」マイクロアーキテクチャ・ベースの45nm版プロセサ製品系列「Penryn」(開発コード名)に適用し,2007年下半期より提供する予定。

 45nmプロセスで製造したトランジスタは,人の赤血球1個の表面に約400個敷き詰められる大きさという。Penrynは,デュアルコア版だと4億個以上,クアッドコア(4コア)版だと8億個以上のトランジスタを集積する。トランジスタの大きさが以前より小さくなるため,スイッチング時の消費電力を約30%少なくできる。

 トランジスタの新たな素材として,高誘電率(high-k)絶縁膜と金属ゲート電極を採用した。このhigh-k絶縁膜はハフニウム(Hf)を利用している。従来の2酸化シリコン(SiO2)製絶縁膜よりも厚く,漏れ電流を10倍以上減らせる。同high-k絶縁膜には従来のSi製ゲート電極を適用できないため,金属製のゲート電極を新たに開発した。ただしIntelは,同ゲート電極で使用した具体的な金属について公表していない。

 Intelでは,「45nmプロセスでhigh-k絶縁膜と金属ゲート電極を組み合わせたことにより,駆動電流が20%以上増え,トランジスタの高速化につながった」としている。さらに,ソース・ドレイン間の漏れ電流は5倍以上少なくなり,トランジスタのエネルギー効率が改善したという。

 トランジスタ間などの配線には,銅配線とlow-k(低誘電率)絶縁膜を使用し,さらなる省電力化と速度向上を図った。

 Penrynプロセサは,演算コアの動作周波数を高め,最大12Mバイトのキャッシュ・メモリーを搭載する。グラフィックスや動画処理,ゲームなどのアプリケーションを高速化できる新しい命令セット「Intel SSE4」に対応する。

 製造には,「コストが有利で生産性に優れている」(Intel)ため,従来の波長193nm光源の乾式リソグラフィを使う。

 Intelは,Penryn製品系列でデスクトップ・パソコン,ノート・パソコン,ワークステーション,サーバー向けのプロセサ15モデル以上を計画しており,最初の5モデルの製造に向けた作業を始めたという。

 なお米AMDは,45nm版プロセサの提供を2008年半ばに開始する予定(関連記事:IBMとAMDの共同開発報告,「45nmプロセスの第1弾製品は2008年半ばの見込み」)。

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